2024.07.18
新紙幣の顔「渋沢栄一」のお墓の先にあるのは…
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NHK大河ドラマで知名度が上昇
今月7月3日から新紙幣が発行されています。一万円札には実業家の渋沢栄一、五千円札には日本初の女子留学生・津田梅子、千円札には細菌学者の北里柴三郎の肖像がそれぞれ採用されました。とりわけ渋沢の功績は顕著で、その半生は2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』で描かれました。生誕地の埼玉県深谷市は祝賀ムード満載で、新紙幣の発行前夜はカウントダウンイベントも開催されました。
農家の長男→武士→幕臣→官僚→実業家へ
渋沢は江戸末期の1840(天保11)年2月13日に農家の長男として誕生。文武両道で、父のもとで商業的な才覚を磨くと同時に、剣術修行も熱心に励みました。武士に取り立てられると、後に主君・徳川慶喜の第15代将軍就任に伴い幕臣となり、明治政府では官僚を務め、様々な政策立案に携わります。退官後は実業界に転身し、第一国立銀行(現・みずほ銀行)や東京商法会議所(現・東京商工会議所)、東京証券取引所など、数多くの企業や経済団体の設立・経営に携わり、「近代日本経済(あるいは日本資本主義)の父」と呼ばれました。倫理と利益を両立する「道徳経済合一説」を理想に掲げたことでも知られますが、渋沢が関わった企業は500社ほどあり、上記以外では、りそな銀行や東京海上日動火災保険、帝国ホテル、大成建設、清水建設、東急不動産、KDDI、王子製紙、東京ガス、東京電力、サッポロビール、アサヒビール、ENEOS、日本郵船、川崎重工業、三菱重工業、IHI、帝人、東洋紡、JR(東日本、東海、西日本)、電通、博報堂、新聞社(毎日、日経)、共同通信社など(いずれも現在の社名)錚々たる企業が名を連ねます。
お墓は都立谷中霊園の渋沢家墓所に
1931(昭和6)年11月11日、老衰により他界(享年92)。お墓はJR日暮里駅の山の手側にある都立谷中霊園(台東区)にあり、乙11号1側の渋沢家墓所で眠っています。戒名は「泰徳院殿仁智義譲青淵大居士」。青淵(せいえん)は雅号で、墓碑正面に「青淵澁澤榮一墓」と刻まれています(写真上=両脇にある妻2人のお墓と共に)。実は、徳川慶喜公の墓所も同霊園内(正確には、同霊園内にある寛永寺谷中第二霊園)にあり、渋沢栄一が眠るお墓から見て直線上の先にあります。谷中霊園の案内図には著名人墓碑の一覧表(他に長谷川一夫や横山大観、鳩山一郎など)も掲載されていますので、興味のある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。