2026.06.12
「飛鳥・藤原の宮都」が悲願の世界遺産登録へ
目次
世界遺産の暫定リストに提案してから20年
「飛鳥・藤原の宮都」が、このほどユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界文化遺産に登録される見通しとなりました。事前審査する諮問機関イコモスが、世界遺産への「記載(=登録)は適当」と評価し勧告しました。「飛鳥・藤原」は、6世紀末~8世紀初頭に、日本列島のほぼ中心地に中央集権体制に基づく宮都が始めて誕生したことを示す比類なき文化遺産。それは当時の中国・朝鮮半島諸国と日本との間で繰り広げられた政治的・文化的交流の所産であり、渡来人の積極的受容による外来文化と日本固有の伝統との融合によって独自の開花を遂げました。発掘・調査が本格的に始まったのは1933(昭和8)年の石舞台古墳(明日香村、被葬者は蘇我馬子との見解が有力視されている=写真上)からで、戦後の長期にわたる積み重ねを経て、2006年11月、地方自治体が世界遺産の暫定リストに提案。しかし、構成資産(明日香村、桜井市、橿原市にある19ヵ所)の多くが地中にあるため、その価値が住民にしっかり理解されていませんでした。そのため提案書の見直しを余儀なくされた再チャレンジだっただけに、まさしく20年越しの悲願達成となりました。
構成資産は「宮殿・官衙跡」「仏教寺院跡」「墳墓」の3つに区分
構成資産は、いずれも「日本国」の形成と成立を示すもので、①中央集権国家の形成過程に誕生した「宮殿・官衙跡」(飛鳥宮跡、飛鳥京跡、酒船石遺跡、藤原宮跡など)、②国家宗教としての「仏教寺院跡」(飛鳥寺跡、山田寺跡、川原寺跡、本薬師寺跡など)、③律令による墓制の変化を示す「墳墓」(石舞台古墳、天武・持統天皇陵古墳、キトラ古墳、高松塚古墳など)という3つの類型に区分されます。これらを体系的に整理したことで、中国や朝鮮半島との緊密な交流のもとで中央集権体制が誕生する過程が明らかになりました。
先行する2つの世界遺産(大阪と奈良)の空白期間
日本国内の世界遺産は、文化遺産21件、自然遺産5件の計26件。このうち5世紀を中心とした「百舌鳥・古市古墳群」(大阪府)と、平城宮跡などの構成資産を含む8世紀の「古都奈良の文化財」(奈良県)が先行登録されていますが、「飛鳥・藤原」が登録されれば、その2つの空白期間が埋まることになります。来月7月19日から韓国・釜山で開催される世界遺産委員会で最終決定が下されますので、ぜひとも実現してほしいものです。
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