2026.07.27
人類の埋葬の歴史に見るイヌとの関係
目次
古くより大切に飼われてきた愛すべき存在
オオカミ(狼)を祖先とするイヌ(犬)は、ヒト(人)が最も早くに家畜化した動物とされ、古くより世界中で広く大切に飼われてきました。手に仔犬(犬か狼か不明)を持たせて埋葬された1万2000年前の狩猟採集民の遺体がイスラエルで発見されたほか、古代メソポタミアや古代ギリシアでは彫刻や壷に飼い犬が描かれ、古代エジプトでも紀元前3500年前の墓の壁画にリードを付けて一緒に歩くようすが描かれています。そもそもイヌの学名「Canis lupus familiaris」に含まれる末尾の単語(傍線部分)は、ラテン語で「家庭に属する」を意味します。飼い犬を家族の一員とみなす考えは今に始まったことではないのです。
日本でも1万年前の縄文遺跡から埋葬された犬の骨が出土
日本における犬の起源は不明ですが、縄文時代早期の遺跡(1万年前)から縄文犬の骨が(一部は埋葬された状態で)出土しています。ヤマト王権発祥の地で、邪馬台国の有力な候補地である纏向(まきむく)遺跡(奈良県桜井市)では10年ほど前、王宮を囲む3世紀前半とみられる堀から犬1体の骨が出土し、その骨格を復元した精巧な生体模型が昨年完成したことが話題となりました。朝日カルチャーセンター・中之島教室(大阪市北区)では、「纏向犬生誕秘話」と題する講座(全3回、いずれも10時30分から12時まで、会員11,880円)を企画。すでに1回目は終了しましたが、2回目「纏向犬の動物考古学的意義」(8月8日)と3回目「纏向犬が見た世界‐千思万考・卑弥呼政権の動向‐」(9月12日)が予定されていますので、ご興味のある方は同センターHPにてご確認ください。
埋葬された犬の骨に治癒した痕跡も
福島県いわき市の薄磯貝塚(縄文末期~弥生前期)でも埋葬された犬の骨が見つかっており、同市考古資料館に展示されています(写真上)。右脛骨の中央部に骨折を治癒した痕跡があり、解説文には「イヌが死ぬと、縄文人は丁寧に埋葬することで感謝の気持ちを表しました。また、人とイヌが同じお墓に埋葬されることも、度々見られます」などと書かれていました。最近は、(仏教界で、動物を輪廻転生の「畜生」と見做す考えを改めたり、仏様の慈悲慈愛によるものなのか)ペットも一緒に入れる墓地や霊園が増えてきました。いずれにせよ、お墓とは、誰にとっても命の大切さ、尊さについて学べる場所であってほしいものです。
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