2023.11.17
本山納骨とは? 宗派別の本山寺院による永代供養を解説
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本山納骨ということばをご存じですか? 日本の仏教はいくつかの宗派に分かれており、その宗派の総本山寺院にお骨を納めることを指します。
古くから行われてきた本山納骨ですが、少子化や、檀家制度の希薄化といった問題を抱える現代において、本山への納骨を検討している人は少なくありません。この記事では、各宗派の本山納骨や永代供養について、分かりやすくまとめました。
本山納骨とは
本山納骨は、自身が所属する宗派への信仰心、あるいは開祖のすぐそばに眠りたいという想いから行われていました。
本山納骨の歴史
代表的な本山納骨に、高野山や本願寺が挙げられます。
高野山は弘法大師空海が開いた真言宗の一大聖地ですが、宗派や貴賤を問わず、多くの人が高野山での納骨を望みました。それは、高野山が霊験あらたかな山岳霊場、山中他界として崇められていたからです。高野聖(中世期に国中を遊行して高野山への信仰を説いた僧侶)たちの手によって遺骨の一部が高野山に納められることで、罪が滅され、故人が供養されると考えられたのです。
本願寺はかつては親鸞の墓所を守る廟所でしたが、これがやがて寺格化し、一大勢力となっていきます。江戸時代に東西に分裂し、本願寺派の本山である西本願寺と、大谷派の本山である東本願寺に分かれています。浄土真宗の本山納骨は、本願寺が東西に分裂した江戸時代前期、それぞれの廟所を現在地に移転したころから始まり、門徒による本山納骨が本格的に行われだしたのは、江戸中期頃からだと言われています。浄土真宗ではもともと教義として墓が不要だったこと、それに加えて親鸞聖人への信心から、いまでも畿内や西日本を中心に本山納骨は盛んで、西本願寺の大谷本廟だけでも年間1万2千件もの納骨がおこなわれています。
「分骨のみ」の納骨が多い
本来は、自分たちが住む地域の場所への埋葬や火葬が行われる中、あえて遠方の本山寺院に納骨するのは、信仰心ゆえでした。ですから、かつての本山納骨は遺骨の一部だけ、喉仏だけとするものが大半でした。
現在でも、分骨のみを受け入れる寺院と、全骨を受け入れる寺院と、対応はそれぞれ異なります。
現代における本山納骨のメリット
本山寺院の一番の魅力は、長く続く歴史とその格式です。
永代供養とは、自身が亡くなったあとも長きにわたり供養が続いていくことを保証するものです。その安心感は千年の歴史を刻む本山寺院であるからこそよりしっかりと担保されます。また、本山寺院だからこその格式にひかれて、本山納骨をする人も少なくなく、より丁寧に、よりしっかりと供養されることを期待するのです。
永代供養にかかる費用は、一般寺院に比べると若干高めかもしれませんが、そこまで差があるわけでもありません。多くの本山寺院では、供養の内容によって金額の差を設けていますが、安価に遺骨を納め、供養してもらうことも可能です。
本山納骨は、歴史と格式あるお寺で行われ、費用面でも一般寺院と比べてもそこまで大差がありません。菩提寺や信頼のおけるお寺とのご縁がある人はそちらに供養をお願いするのが良いでしょうが、もしもそうしたご縁を持たないのであれば、本山寺院への納骨は選択肢の1つに入れてみてもよいかもしれません。
天台宗の本山納骨・永代供養
天台宗の概要
天台宗は、平安時代に最澄が開いた宗派です。
奈良仏教からの脱却を図った桓武天皇が、新時代の仏教の担い手として最澄を登用します。最澄は遣唐使船に乗って唐にわたり、天台大師・智顗(ちぎ)がまとめた天台教学を持ち帰り、これを日本に広めます。
最澄は比叡山を拠点としますが、この地に僧侶の育成輩出するための「大乗戒壇院」を設立(厳密には最澄の死後七日後に設立が認められる)します。比叡山では、天台教学の根本経典である『法華経』だけではなく、密教、念仏、禅など、大乗仏教における修行を実践し、教学を学ぶ、いわば日本仏教の総合大学のような場所です。実際にここから、鎌倉時代の新仏教を作った高僧たちが巣立っていくことになることから、比叡山は「日本仏教の母山」とも呼ばれています。
本山寺院
比叡山延暦寺(滋賀県大津市)
本尊
天台宗では特定の本尊を定めていません。お寺によって、薬師如来、釈迦如来、阿弥陀如来、観世音菩薩などをお祀りしています。ちなみに、本山寺院である延暦寺の本尊は薬師如来です。
比叡山延暦寺の本山納骨・永代供養
天台宗総本山である比叡山延暦寺では、永代供養や納骨を受け付けています。宗旨宗派を問わず、期限を設けずに永代にわたって供養をしてもらえます。回向の種別はさまざまで、その内容をまとめます。
特別永代(納骨)
- 比叡山の霊木によって作られた特製位牌を安置して、毎日回向をしてもらいます。
- 特別檀信徒待遇とし、比叡山で行われる諸行事に案内してもらいます。
- 天台宗の教化紙である『比叡山時報』が送付されます。
- 故人の情報が専用過去帳に記載されます。
- 「年忌法要」「春秋彼岸会」「孟蘭盆会」の案内が送付されます。
- 冥加料は200万円以上
永代日牌(納骨)
- 大型位牌を安置し、毎日回向をしてもらいます。
- 故人の情報が専用過去帳に記載されます。
- 「年忌法要」「春秋彼岸会」「孟蘭盆会」の案内が送付されます。
- 冥加料は80万円以上
永代月牌(納骨)
- 中型位牌を安置し、毎月の命日に回向をしてもらいます。
- 故人の情報が専用過去帳に記載されます。
- 「年忌法要」「春秋彼岸会」「孟蘭盆会」の案内が送付されます。
- 冥加料は50万円以上
永代年牌(納骨)
- 毎年の命日に回向をしてもらいます。
- 故人の情報が専用過去帳に記載されます。
- 「年忌法要」「春秋彼岸会」「孟蘭盆会」の案内が送付されます。
- 冥加料は30万円以上
百萬霊(納骨)
- 毎月15日に回向をしてもらいます。
- 故人の情報が台帳に記載されます。
- 「年忌法要」「春秋彼岸会」「孟蘭盆会」の案内が送付されます。
- 冥加料は100,000円以上
なお、納骨は、全骨、分骨に関わらず、共同墓地への合葬となります。
真言宗の本山納骨・永代供養
真言宗の概要
真言宗は、平安時代に空海が開いた宗派です。最澄と同じタイミングで遣唐使船に乗って唐に渡った空海は、真言密教の法灯を継ぐ恵果阿闍梨(けいかあじゃり)から正統後継者として認められ、その神髄を日本に持ち帰り、広めます。
真言密教では「三密加持」による「即身成仏」の教えを説きます。三業(身=からだ、口=ことば、意=こころ)を仏の姿にすること(=三密)で、誰もがその身そのままで仏になれるというものです。
空海の功績は朝廷からも認められ、教王護国寺(東寺)や高野山などを真言密教の道場にしていきます。高野山の奥の院では、いまもなお空海が修行を続けていると信じられ、多くの参拝客を集める聖地です。古くから多くの人が高野山に納骨したことから、「日本総菩提所」の異名を取ります。
実際に、奥の院の参道には、樹齢千年を超える杉の木が林立し、その中に数々の歴史上で名をはせた人物たちのお墓が並びます。戦国武将では豊臣秀吉や徳川家康、浄土宗の開祖である法然や浄土真宗の開祖である親鸞、明治以降はパナソニック、南海電鉄、江崎グリコなどの企業墓も見られます。
本山寺院
真言宗は複数の流派に分かれており、その数だけ本山寺院があります。
代表的な寺院として、高野山真言宗の金剛峯寺(和歌山県高野町)、東寺真言宗の教王護国寺(京都市南区)、善通寺派の善通寺(香川県善通寺市)、御室派の仁和寺(京都市右京区)などがあります。
本尊
本尊は大日如来です。宇宙のあらゆる万物の根源であるとされています。
高野山金剛峯寺の本山納骨・永代供養
高野山にはさまざまな諸派があり、それぞれに本山寺院がありますが、ここでは「日本総菩提所」として名高い、高野山真言宗の本山・金剛峯寺の納骨並びに永代供養について解説します。
高野山には弘法大師空海が眠るとされており「奥の院」と呼ばれる聖地があり、古くからたくさんの人が「お大師様のそばに」と喉仏を納骨していました。
喉仏の納骨供養料は一座の読経供養も含めて10万円です。
ただし金剛峯寺では、喉仏の納骨は受け入れてくれるものの、全骨の納骨ならびに永代供養は受け付けていません。
高野山の地で永代供養を希望する人は、高野山の中にある百を超える寺院の中で、永代供養に対応してくれている寺院を探し、問い合わせてみて下さい。
浄土宗の本山納骨・永代供養
浄土宗の概要
浄土宗は、鎌倉時代に法然が開いた浄土系の一宗派です。
阿弥陀信仰(浄土教)の歴史は紀元前2世紀ころのインドまで遡ることができ、シルクロードを通じてチベットや中国を経て、飛鳥時代の頃(6世紀から7世紀)には日本に伝わったとされています。
浄土教の教えは『浄土三部経』を根本としており、「南無阿弥陀仏」の念仏を称えたものは等しく極楽浄土に往生できるというものです。この、分かりやすい救済の思想は、貧困や戦乱などの社会不安にあえぐ多くの庶民たちの心のよすがとなり、大乗仏教エリアにおいて大きな信仰を集めます。
浄土教は、日本において空也、源信、良忍などを経て、法然がその花を咲かせます。平安時代においては仏教は鎮護国家のためのものでしたが、貴族社会から武家社会に移行する時期において、庶民救済ための仏教が求められるようになります。
天台僧として比叡山で修行していた法然は、自ら山を下り、独自の布教を展開し、浄土教が人々の間に広まります。法然の直弟子には浄土真宗を開いた親鸞がおり、彼らの功績によって浄土教の思想はまたたく間に日本社会に浸透していくこととなります。
本山寺院
浄土宗は鎮西派と西山派に分かれます。鎮西派の本山は知恩院(京都市左京区)です。西山派はさらに3つの流派に別れ、西山深草派の本山は誓願寺(京都市中京区)、西山禅林寺派の本山は永観堂禅林寺(京都市左京区)、西山浄土宗の本山は粟生光明寺(京都市長岡京市)に分かれます。
本尊
浄土宗のご本尊は阿弥陀如来です。
知恩院の本山納骨・永代供養
鎮西派の総本山である知恩院への本山納骨は、「寶佛殿」(ロッカー式納骨壇)への個別納骨と、地下納骨室での合祀納骨を選べます。
寶佛殿
- 特別永代祠堂として個別に納骨されます。
- 故人の情報が特別永代祠堂昇殿簿に記帳されます。
- 毎月の祥月命日に回向されます。
- 春と秋の彼岸会に案内されます。
- 冥加料は一人利用の場合は200万円以上、夫婦利用の場合は300万円以上です。
地下納骨堂への合祀は、回向の内容によって金額と骨壺の大きさによって冥加料が異なります。
永代祠堂納骨
- 納骨当日の永代祠堂開白供養の回向。
- 永代祠堂簿に記帳。
- 毎月の祥月命日に回向。
- 春秋の彼岸会に案内される。
- 永代にわたり(年3回)回向。
- 分骨(喉仏)/3寸まで 15万円以上
- 全骨・胴骨 /6寸まで 16万円以上
- 総骨・改葬 /6寸以上 18万円以上
祠堂納骨
- 納骨当日の回向。
- 毎月の祥月命日に回向(10年間)
- 涅槃会(2/13~15)に案内される。10年間(年2回)。
- 分骨(喉仏)/3寸まで 15万円以上
- 全骨・胴骨 /6寸まで 16万円以上
- 総骨・改葬 /6寸以上 18万円以上
特別納骨
- 納骨当日の回向。
- 萬部会(10/23~25)に案内される。5年間(年1回)。
- 分骨(喉仏)/3寸まで 9万円以上
- 全骨・胴骨 /6寸まで 10万円以上
- 総骨・改葬 /6寸以上 12万円以上
普通納骨
- 納骨当日の回向。
- 佛名会(12/2~4)に案内される。
- 分骨(喉仏)/3寸まで 5万円以上
- 全骨・胴骨 /6寸まで 6万円以上
- 総骨・改葬 /6寸以上 8万円以上
浄土真宗の本山納骨・永代供養
浄土真宗の概要
浄土真宗は、鎌倉時代に親鸞から始まった浄土教のうちの一宗派です。
親鸞死後、親鸞の血族の流派と弟子の流派に分かれ、現在は10の宗派に分かれています。これを「真宗十派」と呼びます。
- 浄土真宗本願寺派(京都市:西本願寺)
- 真宗大谷派(京都市:東本願寺)
- 真宗高田派(三重県津市:専修寺)
- 真宗佛光寺派(京都府京都市:佛光寺)
- 真宗興正派(京都府京都市:興正寺)
- 真宗木辺派(滋賀県野洲市:錦織寺)
- 真宗出雲路派(福井県越前市:毫攝寺)
- 真宗誠照寺派(福井県鯖江市:誠照寺)
- 真宗三門徒派(福井県福井市:専照寺)
- 真宗山元派(福井県鯖江市:證誠寺)
このうち、圧倒的な信者数と勢力を誇るのが、浄土真宗本願寺派(通称:お西)と、真宗大谷派(通称:お東)で、浄土真宗全体では寺院数が全体の28.6%、信者数は34%と、日本の各宗派の中では最大級を誇ります。
親鸞はもともと法然の弟子で、念仏往生の教えそのものに大きな違いはありません。ただし、師匠の法然はあくまで出家者としての生き方を貫いたのに対し、親鸞は自らを「愚禿釋親鸞」と名乗り、非僧非俗(僧侶でもないが俗人でもない)とします。実際に親鸞は、髪を伸ばし、恵心尼という妻をめとり、酒を飲んでいたとも言われています。
これは、出家の有無を問わず、念仏を称える者はどんな人でも必ず救うとする阿弥陀如来の救済を実践したものです。自力ではなく他力(阿弥陀如来の力)によって救われる『他力本願』や、「善人が救われるのであれば悪人はなおのこと救われる」とする『悪人正機』という親鸞の思想はあまりにも有名です。
庶民にやさしく、分かりやすい親鸞の教えはまたたく間に信者を増やし、室町戦国時代には、織田信長らの戦国武将と対峙するほどの勢いを持ち、最終的には徳川家康が本願寺を東西に分裂させて、今のかたちとなっています。
大谷本廟(西大谷)の本山納骨・永代供養
浄土真宗本願寺派の廟所である大谷本廟(西大谷)、原則として浄土真宗門徒のための廟所で、現在2種類の納骨方法があります。
祖壇納骨
祖壇納骨とは、親鸞聖人の側に納骨をすることを指します。いまでも多くの信者が祖壇納骨を希望しており、年間約12,000件もの納骨が行われているそうです。
一経座(納骨当日に一度だけお経をあげてもらえます)
- 小型容器 3万円以上
- 小型容器以上の場合 5万円以上
永代経(発行される証書を持ってお参りすることで、いつでもお経をあげてもらえます)
- 小型容器 6万円以上
- 小型容器以上の場合 8万円以上
無量寿堂納骨
1968年に竣工された無量寿納骨堂は、国内最大級の納骨堂です。中には無数の納骨壇が並び、その中に遺骨を収蔵します。現在は第二無量寿堂のみ受け付けています。
はじめにも触れましたが、大谷本廟は浄土真宗本願寺派の門徒のための廟所です。祖檀納骨、無量寿堂納骨ともに、浄土真宗本願寺派の寺院、宗派の僧侶、寺族(僧侶の家族や親族)、門信徒らに限られています。菩提寺を通して申し込むか、浄土真宗の門徒になるかのいずれかを選ばなければなりません。
納骨壇の種類と金額は以下の通りです。
- 新小型区画 特別懇志100万円以上/年次維持冥加金2千円
- 中型区画 特別懇志100万円以上/年次維持冥加金2千円
- 小型区画 特別懇志80万円以上/年次維持冥加金2千円
- 普通区画 現在は受付していません特別区画 現在は受付していません
大谷祖廟(東大谷)の本山納骨・永代供養
真宗大谷派では、現在2種類の納骨方法があります。
大谷祖廟納骨
親鸞聖人の廟所である大谷祖廟での納骨です。宗派問わず受け入れてもらえます。
別座1等
- 読経の際に家族だけでお参りができます。
- 納骨当日、抹茶接待があります。
- 祥月命日・春秋彼岸・盂蘭盆会に永代読経をしてもらえます。
- 祥月命日・春秋彼岸に30年間案内状が送付されます。
志納額 100万円以上
別座2等
- 読経の際に家族だけでお参りができます。
- 納骨当日、抹茶接待があります。
- 祥月命日・春秋彼岸に永代読経をしてもらえます。
- 祥月命日・春秋彼岸に20年間案内状が送付されます。
- 志納額 50万円以上
別座3等
- 読経の際に家族だけでお参りができます。
- 納骨当日、抹茶接待があります。
- 祥月命日・春秋彼岸に永代読経をしてもらえます。
- 祥月命日・春秋彼岸に10年間案内状が送付されます。
- 志納額 30万円以上
別座4等
- 読経の際に家族だけでお参りができます。
- 祥月命日に永代読経をしてもらえます。
- 祥月命日に10年間案内状が送付されます。
- 志納額 15万円以上
一座1種
- 読経の際に、他の参拝者が同席となります。
- 祥月命日に永代読経してもらえます。
- 祥月命日に10年間案内状が送付されます。
- 志納額は10万円以上。容器が大きい場合は12万円以上。
一座2種
- 読経の際に、他の参拝者が同席となります。
- 祥月命日と彼岸会(春または秋)に永代読経してもらえます。
- 志納額は7万円以上。容器が大きい場合は9万円以上。
一座3種
- 読経の際に、他の参拝者が同席となります。
- 彼岸会(春または秋)に永代読経してもらえます。
- 志納額は4万円以上。容器が大きい場合は6万円以上。
一座4種
- 読経の際に、他の参拝者が同席となります。
- 永代経はありません。
- 志納額は2万円以上。容器が大きい場合は4万円以上。
真宗本廟収骨
真宗本廟とは大谷派の本山寺院である東本願寺のことで、境内の御影堂に安置されている親鸞聖人御真影のもとに納骨します。
ただし、真宗本廟への納骨には菩提寺を通さなければならず、真宗大谷派の門徒しか受け付けてくれません。
納骨費用は12万円以上です。
臨済宗の本山納骨・永代供養
臨済宗の概要
臨済宗とは、日本の禅宗の一派で、坐禅と禅問答を重んじます。
禅とは、心を平穏に整えた精神状態のことであり、坐禅や作務(お寺における掃除や食事などの日常生活)や禅問答など、日々の営み全体を修行と捉え、どのような状況においても心が乱れない境地を目指します。
また、お釈迦様は瞑想をしている時に悟りを開かれたと言われていますが、坐禅はまさにその瞬間の姿を真似て、お釈迦様の至った境地を目指そうとするものです。
インドの僧侶・達磨大師によって始まった禅宗は、中国で5つの流派に分かれます。その中で臨済禅を日本に持ち帰ったのが、鎌倉時代の僧・栄西です。栄西は臨済宗を開くだけでなく、中国から当時最新の文化をも輸入し、これが、茶道や華道、書道や水墨画、書院造の建築や枯山水の庭園など、禅宗様式の日本文化が花開くきっかけとなっていきます。
臨済宗の本山寺院
臨済宗は現在14の宗派に分かれています。代表的なものに、南禅寺派、妙心寺派、円覚寺派、建仁寺派などがあります。ちなみに宗派の名前はすべて本山寺院の寺号を冠しており、たとえば南禅寺派の本山は南禅寺(京都市左京区)、妙心寺派の本山は妙心寺(京都市右京区)といった具合です。
本尊
臨済宗のご本尊は釈迦如来です。
妙心寺の本山納骨・永代供養
臨済宗にはすべて14の流派に分かれ、それぞれに本山寺院があります。ここでは代表的な妙心寺派の本山である妙心寺の例を見てみます。妙心寺では宗旨宗派問わず、納骨や永代供養ができます。
納骨供養
妙心寺に納められた遺骨は涅槃堂の地下室に安置し、永代にわたって供養されます。
総骨の場合は1霊35万円、分骨の場合は1霊10万円です。
永代祠堂供養
妙心寺での供養の方法は次の4種類に分けられます。納骨をした上で供養を希望する場合は、下に挙げる費用との合計になります。
特別日牌
- 日牌祠堂霊簿に戒名を記入します。
- 毎日回向をしてもらえます。
- 家紋入りの特別位牌を位牌堂・特別室に安置します。
- 永代祠堂料は1霊150万円です。
日牌
- 日牌祠堂霊簿に戒名を記入します。
- 毎日回向をしてもらえます。
- 家紋入りの位牌を位牌堂に安置します。
- 永代祠堂料は1霊120万円です。
月牌
- 月牌祠堂霊簿に戒名を記入します。
- 毎月の祥月命日に回向をしてもらえます。
- 永代祠堂料は1霊40万円です。
年牌
- 月牌祠堂霊簿に戒名を記入します。
- 毎年の命日に回向をしてもらえます。
- 永代祠堂料は1霊15万円です。
曹洞宗の本山納骨・永代供養
曹洞宗の概要
曹洞宗は、日本の禅宗の一派です。
曹洞宗も、臨済宗と並ぶ中国禅宗五家のうちのひとつでした。日本に曹洞禅を持ち帰ったのは道元です。
先にご紹介した臨済宗と曹洞宗の違いは、臨済宗は禅問答をするのに対し、曹洞宗では特段禅問答はせず、ただただ坐禅をすることに重きを置きます。また、臨済宗が時に権力者たちとの結びつきを強めるために、鎌倉や京都で発展していったのに対し、曹洞宗は地方に教線を張っていきます。道元は晩年に福井県の山深い場所に禅道場を開き、これが、現在の曹洞宗の総本山である永平寺となります。
曹洞宗の特徴として、分派がないことが挙げられます。単一の組織で単一の予算で教団運営が行われているのは、日本の仏教教団では曹洞宗が唯一です。
本山寺院
曹洞宗では「両大本山」と呼ばれ、本山寺院が二つあります。永平寺(福井県永平寺町)と総持寺(横浜市鶴見区)です。宗派のトップである「管長」も交代制で、永平寺と総持寺の貫主(住職)が2年ごとに交互に務めています。
本尊
曹洞宗の本尊は釈迦如来です。
永平寺の本山納骨・永代供養
曹洞宗の両大本山のうち永平寺の本山納骨や永代供養についてご紹介いたします。永平寺では宗旨宗派問わず、納骨や永代供養ができます。
祠堂殿納骨法要
お骨は寂光苑納骨堂にて合祀されます。また分骨(喉仏)のみの受付となります。
恩金は、1霊につき3万円以上です。
永代供養
永代供養は原則として受付から50年間を期限とします。
納骨料3万円以上のほかに、下に挙げた永代供養料を納めます。
- 特別日牌(位牌安置+毎日の供養)1霊40万円
- 日牌(毎朝の供養) 1霊30万円
- 月牌(月2回の供養)1霊20万円
総持寺の本山納骨・永代供養
もうひとつの両大本山・総持寺では、永代合葬墓「慈照塔」に遺骨を合祀します。
総持寺の永代供養は原則として承継者のいない方に限られます。お寺が定める書類を提出し、審査を通過した方だけが納骨と永代供養をしてもらえます。費用は1霊につき100万円です。
日蓮宗の本山納骨・永代供養
日蓮宗の概要
日蓮宗は、鎌倉時代に日蓮が開いた宗派です。日本仏教の中でも、宗派名に開祖の名前を冠するのは日蓮宗だけで、日蓮という存在のカリスマ性を物語っています。
日蓮宗がもっとも大事にしているのは『法華経』の教えで、その実践として「南無妙法蓮華経」のお題目を称えることを実践しています。
『法華経』の正式名称は『妙法蓮華経』で、釈迦入滅後の約500年後にインドで成立した経典です。『法華経』の神髄は、「久遠本仏」(お釈迦様は過去から未来にかけて永遠の命を生きて私たちを救済する)、「一乗妙法」(出家者も在家者も、小乗仏教も大乗仏教も関わらず、差別なくどんな人でも救われる)、「菩薩行道」(『法華経』を信じる者はその教えを社会に広めることで自らが仏になれる)の3つです。
特に、2つ目の「一乗妙法」は『法華経』の平等思想を示しており、在家者を差別する出家者、小乗仏教を差別する大乗仏教など、それぞれの垣根を乗り越えてみなが一様に救われる世界を目指しました。
『法華経』は天台宗の総本山である比叡山でも大切にされており、かつて「天台法華宗」と呼ばれていたほどです。そんな比叡山で修行を積んだ日蓮は、『法華経』の教えのすばらしさを知り、さらにそれを純化させて布教活動を展開させます。
日蓮は「折伏」と呼ばれる相手を論破する布教スタイルを貫きます。そのため、権力や多宗派からの迫害や弾圧にあいますが、同時に多くの信者をも集め、影響力を強めます。1268年に将軍北条時宗に奏上した『立正安国論』は、モンゴルの襲来(元寇)を予言したとして有名です。
62歳で息を引き取る際、日蓮は6人の高弟にあとを継ぎ、それぞれの門流が分派しつつも、いまでも日蓮を信奉する人は数多くいます。
身延山久遠寺の本山納骨・永代供養
身延山久遠寺では分骨と全骨(五十年納骨(永代供養)のいずれかが選べます。久遠寺では宗旨宗派問わず納骨、永代供養をしていただけます。
分骨/普通納骨
- 身延山の朝、昼、夕方のお勤めに併せて法要を行います。
- 法要後は、合同供養塔にて合祀されます。
- 一霊位につき5万円
分骨/五年~五十年納骨
- 白木位牌を用意し、お骨と共に安置します。
- 5年間供養していただけます。
- お骨がない場合は、故人の遺品や位牌だけでも供養してくれます。
- 期間が過ぎると合同供養塔にて合祀されます。
納骨費用は以下の通りです。
- 五年納骨 一霊位につき 10万円
- 十年納骨 一霊位につき 20万円
- 二十年納骨 一霊位につき 30万円
- 五十年納骨(永代供養) 一霊位につき 50万円
全骨/五十年扱いの永代供養
全骨を納める場合は、50年間供養してもらい、それ以降は合同供養塔にて合祀されます。
納骨にかかる費用は一霊位につき200万円です。
また、次の要件を満たさなければならず、身延山が用意する関係書類を取りそろえる必要があります。
- 菩提寺がないこと
- 菩提寺がある場合は菩提寺の許可を得ていること
- 埋葬許可証の提出
- 親族の承諾
まとめ
いかがでしたでしょうか。この記事では、本山納骨や永代供養について解説いたしました。
そして、お墓のこと、納骨のこと、供養のことでお困りの方は、どうぞ私たち「みんなのお墓」にご相談ください。「みんなのお墓」は、経済産業省の認可団体である全国石製品協同組合(全石協)が監修する日本最大級のお墓総合ポータルサイトです。全国47都道府県の石材会社や関連会社が力をあわせて、あなたの悩みに寄り添い、サポートいたします。
※この記事に掲載した各本山寺院の納骨ならびに永代供養については、それぞれの公式ウェブサイトと電話調査にて確認した情報に基づいています(2023年10月現在)。