2024.11.29
日本の石が価値ある「ヘリテージストーン」に認定
目次
世界を代表する天然石材遺産として(東アジア地域で初めて)認定
筑波山地域ジオパークの地質遺産「筑波山塊の花崗岩」が今年7月、ヘリテージストーン(天然石材遺産)に認定されました。国際地質科学連合IUGSの「国際的価値が高く、人類との関わりの歴史が古い天然石を“ヘリテージストーン”に認定する」プログラムに申請した結果で、世界を代表する55のヘリテージストーンの一つに(東アジア地域では初めて)選ばれました。筑波山塊の花崗岩は、白亜紀後期~古第三紀にアジア大陸東縁の地下約10㎞付近で形成されたと考えられており、主に稲田花崗岩と加波山花崗岩(もう一つは筑波花崗岩)で構成されますが、前者は「稲田石」「羽黒青糠目石」「坂戸石」などの名称で、後者は「真壁石」「やさとみかげ」「多喜石」などの名称で一般市場に流通しています。
世界に認められた日本のヘリテージストーン
筑波山塊の山々で、古くから花崗岩の巨石や奇岩が露出する場所は、仏教と神道が融合した日本独自の山岳信仰の場として、地域の人々に大切に守られてきました。鎌倉時代には高度な石材加工技術が伝わり、石仏や五輪塔、道標などの石造物が盛んにつくられ、江戸時代には加波山麓で「真壁石燈籠」が誕生し、現在は伝統的工芸品に指定されています。明治以降は東京方面に出荷され、迎賓館赤坂離宮(写真上)など石造建築物の外壁をはじめ、国会議事堂や東京駅丸の内中央広場の敷石、日本橋の橋梁、路面電車の軌道用敷石などに利用されました。今回これらの石材(花崗岩)がヘリテージストーンに認定されたことで、その産地や地質学的特徴、石材としての特性、人類の文化的活用の歴史が後世に(英文で)残されることになりました。
お墓や身近な生活用品をヘリテージストーンでつくる
今回のプログラムでは、伊豆石や大谷石なども申請候補に挙がっていたそうですが、その他の石材も含め、今後さらに追加認定される可能性も充分残されています。墓石や灯籠、石仏、狛犬、石鳥居などの各種石造物をはじめ、建築用の石材にしても、いまは外材が主流ですが、信仰の対象として、あるいは人々の生活や歴史に深く関わってきた国産石材は他にもたくさんあります。お墓や建築物、あるいは身近な生活用品の素材として、国産石材の魅力を今一度、見直してみてはいかがでしょうか。皆さんの感性やフィーリングに合う石材がきっと見つかることでしょう。