2026.09.17
地球に優しい「エコ葬」が日本で普及しない理由とは
目次
微生物を増殖させて土に分解する「堆肥(コンポスト)葬」
近年、地球環境に負荷をかけない「エコ葬」として、新たな遺体処理方法が注目を集めています。一つは、米国のベンチャー企業リコンポーズ社が家畜の処理技術を応用して開発した「堆肥(コンポスト)葬」「有機還元葬」と呼ばれるもの。ウッドチップや藁、アルファルファの混合物を敷き詰めた専用のステンレス容器に遺体を安置し、酸素や炭素、窒素、水分、温度をコントロールして、好熱性微生物の発酵(増殖)を促して土に分解します。骨ごと堆肥化するのに約1ヵ月、さらに土が硬化するまで2~4週間かかり、一体あたり体積で0.76㎥(760ℓ)、重量で450㎏(軽トラ1台分)の土壌が生成されます。2019年にワシントン州が認可したのが最初で、2025年の時点で全米14州、欧州ではスウェーデンで認可されています。費用は約5000~7000ドル(米国では、火葬や葬儀、納棺、墓地代の総額が平均550万円ほどかかるとされるので、少し割安感がある)ということです。
アルカリ加水分解によって液化処理する「水火葬」
もう一つは「水火葬」「アルカリ加水分解葬」と呼ばれるもの。「動物の死骸を圧力容器に入れ、アルカリ加水分解によって(肥料用に)液化処理する」技術は、アメリカで1888年に特許を取得し、その後、1990年代に実用化され、約20年前より一般(人間)向けの施設が普及しました。圧力容器には、水と水酸化カリウムの混合液が入っており、これを160℃以上の高温・高圧化で沸騰を抑えながら脂肪やたんぱく質を加水分解(溶融)します。最後に緑褐色を帯びた大量の廃液(アミノ酸、ペプチド、糖類、塩類などを含む強アルカリ液)と、柔らかく多孔質の骨の残骸が残り、遺族には数日後、乾燥・粉末化した粉骨が渡されます。費用は約2500~5000ドルで、アメリカ24州(2022年)ほか、欧州ではアイルランドやベルギー、イギリス、その他カナダ、メキシコ、オーストラリア、ニュージーランドで一部合法化されています。日本では最近、ペットを水火葬するアクアメーション装置が登場し、注目を集めています(写真上)。
他にも「キノコ葬」「フリーズドライ葬」など…
他にも「キノコ葬」「フリーズドライ葬」などのエコ葬があり、いずれも日本では合法化されていませんが、火葬のほうが安価(無料~十数万円)、短時間(1.5~2時間)で、その日のうちに骨壷に入れて持ち帰れることから、(日本人の死生観や法整備などの問題も含め)上記のエコ葬を普及させるのは困難との見方が大半のようです。
