2026.04.15
赤飯の廃棄問題に見る日本文化の多様性
目次
2000食以上の赤飯が廃棄処分に
福島県いわき市の中学校で給食に予定していた約2100食分の赤飯が急遽廃棄される問題が発生し、波紋を広げました。赤飯は卒業式のお祝いとして用意されたものですが、市教育委員会の説明によると、その日は3月11日「東日本大震災」の発生日で、ある保護者から電話で指摘されたことがきっかけで「追悼の意を表すべき特別な日に、祝い事の象徴である赤飯の提供はふさわしくない」と判断し、やむなく防災備蓄用のパンに変更したということです。この話題がSNSで拡散されると、「(震災の日を思い返したら)食材廃棄するなどありえない」「卒業を祝って何が悪い」「食べられなかった卒業生がかわいそう」などと非難が集中。食品ロスの観点からも「もったいない」「教育上よくない」などと指摘する声がたくさん寄せられました。
赤飯の起源は飛鳥時代
赤飯について調べたところ、起源は飛鳥時代までさかのぼります。毎年秋に行なう新嘗祭では、五穀豊穣を祈って、炊くと赤褐色に色づく赤米が奉納されました。赤い色には、古来より邪気を祓ったり、魔除けの力があると信じられていたからです(その後、白米が主流となり、小豆などで赤く着色するようになった)。そうした思想や文化を受け継いで、実は葬儀の席でも赤飯が振る舞われる地域が存在します。たとえば、福井県の一部地域では、長寿を全うした故人に赤飯を振る舞う「赤飯供養」と呼ばれる風習が(魔除けの力で不吉なことを避ける「縁起直し」という意味合いも)あり、また神奈川県の農村部でも、80歳以上で亡くなった方の葬儀で、故人の長寿を祝って赤飯が提供されることがあるとのこと(写真上=イメージ)。島根県東部でも同様に、葬儀後の精進落としで赤飯を振る舞う風習があり、これは出雲大社を死の穢れなどから守るためとされます。さらに熊本県の阿蘇市や玉名市、天草市など一部地域でも、葬儀の後に赤飯が提供されることがあるようです。
お墓や仏壇に赤飯をお供えする地域も
法事も同様で、お彼岸やお盆、元旦に(お墓や仏壇に)赤飯をお供えする地域が東北や九州など各地にあります。筆者の近所にも、お彼岸に毎年お赤飯を炊いて我が家の仏壇にお供えしてくれる方がいらっしゃいました。法事も食文化も地域によってさまざま。何をすべきか否か、広い視野にもとづいて判断することが大切です。
