2023.01.17
お墓の承継にも大きく関わる少子化問題
目次
少子化の指標となる2つの出生率
その年に生まれた人口1,000人当たりの出生数が「出生率」で、15~49歳の女性一人当たりの生涯出産人数を「合計特殊出生率」と言います(年齢や性別を問わない出生率よりも精度が高い)。近年、日本の出生率、合計特殊出生率ともに大幅に減少しており、世界銀行が公表した合計特殊出生率世界ランキングによると、対象となる208ヵ国中で日本は191位でした(昨年2022年9月現在)。また昨年の日本の出生数は、初めて80万人を割り込むことがほぼ確実視されています。国立社会保障・人口問題研究所では「80万人割れは2030年」と推計していましたが、それより速いペースで少子化が進んでいるのです。年金や医療費などの社会保障制度は現役世代によって支えられていますが、このまま少子化が進み、労働人口が減り続けると、そのシステムが破綻してしまいます(写真上=少子高齢化のイメージ)。
少子化対策で岸田首相VS小池都知事による前哨戦も
子どもを産み、育てやすい環境を整備することが急務となっていますが、岸田文雄首相が年頭の記者会見で「異次元の少子化対策に挑戦する」と述べると、同じ日に、小池百合子都知事が「18歳以下の都民に月5,000円の給付金を支給する」と発表しました。それに反応するかたちで、SNS等では「月5,000円のほうがインパクトが大きい」「軍配は小池都知事」などと話題をさらいました。しかし、異次元の具体的な内容については何の説明もなく、また都の給付金も所得制限を設けずに支給するということなので、それぞれどれくらいの実効性があるのか疑問が残ります。仮に実効性が認められたとしても、その政策はいつまで続けられるのでしょうか、あるいは必要な財源を適正に確保できるのでしょうか。いずれにしても、その政策の成否や成果を検証できるのは、数年~10年以上先になるでしょう。
2022年の合計特殊出生率1.27が意味するものとは
少子化対策は、お墓の承継にも大きく関わる問題です。お子さんが女性一人の場合、その女性が嫁ぐと、実家のお墓を承継できない(あるいは承継しづらい)というのが実情ですが、第一生命経済研究所の試算によると、昨年の合計特殊出生率は過去最低に迫る1.27でした(つまり、生まれてくる男女比を1対1とすれば、女性の一人っ子世帯が半々の確立で発生する)。最近は女性の実家と嫁ぎ先の家とで共同で建てる二世帯墓などもありますので、お近くの石材店に相談されるとよいでしょう