2022.05.08
お墓参りのお供え物には何を持っていけばいい?供物のマナーを解説します
目次
お墓参りをする際、何をお供えすればいいのかわからなかったり、マナーに則しているか疑問に感じることもあるでしょう。
そこで今回は、「お墓参りのお供え物には何を持っていくと良いのか」「お供え物に関するマナーには何があるのか」についてご紹介します。
お墓参りのお供え物の基本は「五供」
お墓参りにおけるお供え物は、五供(ごく・ごくう)とよばれる、以下5種類のお供え物が一般的とされています。
●香(こう)
●花
●灯燭(とうしょく)
●浄水
●飲食(おんじき)
それぞれ詳しく解説していきます。
香
香とは、お線香など香りをたてるもののことを指します。
倶舎論(くしゃくろん)という仏教経典では、「生前に良い行いをした死者は良い香りを食べる」と言われており、墓前にお香をお供えすることは場を清めるだけでなく、食べ物をお供えすることと同義でもあります。
花
花はその名の通りお花のことを指し、お花をお供えすることは故人を想う気持ちを花で表す他、修行の誓いを立てるといった意味も持ちます。
花の種類については、基本的に故人が好きだったものを選ぶとよいでしょう。
また、花は生花を供えることが多いですが、造花であっても問題ありません。生花はお供えしてもすぐに枯れてしまいますが、造花の場合、風雨にさらされて劣化することはあっても、長い期間きれいな状態を保ちつづけるため、定期的にお墓参りに行けない方にとっては便利です。
灯燭
灯燭とは火を灯したロウソクのことです。
灯濁をお供えすることは、周囲のけがれを浄める目的と、お参りに来た自分たちの顔を照らして、ご先祖様に姿をよく見せるという2つの目的があります。
また、仏教には「仏様に人間の息を吹きかけてはいけない」という考え方があり、息を吹きかけて消すのはマナー違反に該当します。お墓参りが終わったら火消しを使うか、手で仰ぐようにして火を消すようにしましょう。
浄水
浄水は清らかな水のことを指し、故人やご先祖様、そして自分自身の心を清めるという意味合いがあります。
水鉢(みずはち)とよばれるくぼんだ部分がお墓にあればそこへ注ぎ、水鉢がない場合にはお皿やコップなどに入れてお供えしましょう。
お供えする水については、水道水でも飲料水でも構いません。
飲食
飲食とは食べ物や飲み物のことで、一般的なものとして旬の果物やお菓子、お酒などが挙げられます。
お供えするものは故人が好きだった食べ物や飲み物がおすすめですが、中には仏教の慣習上、お供えしてはならないものもあるため、注意が必要です。
お供えしてはならない具体的な飲食については後述します。
お供えを避けた方がいいもの
次に、お墓参りのお供え物としてふさわしくないものを解説します。
お供えを避けたほうがいいものとしては、以下の4点が挙げられます。
●トゲや毒を持つ花
●香りの強い花
●肉や魚
●五辛(ごしん)
それぞれ詳しく解説していきます。
トゲや毒を持つ花
殺生を禁止としている仏教では、トゲや毒を持つ花は殺生に近い攻撃性を連想させるものとして、お供え物にふさわしくないとされています。
トゲがある花としてはバラやアザミ、毒がある花は彼岸花やチューリップなどが挙げられます。
香りの強い花
仏教の中で禁止されている訳ではありませんが、香りの強い花は周辺の方へ迷惑をかけてしまうため、なるべく避けましょう。
肉や魚
肉や魚のお供えも殺生を連想させるものとしてタブーとされています。
故人が好きだったものとしてお供えしてしまいがちな食べ物ですが、肉や魚は腐りやすいという側面もあるため、お墓参りのお供え物としては適しません。
五辛
五辛とは、以下5点の野菜を指し、これらはお供え物にはふさわしくないとされています。
●ねぎ
●にんにく
●にら
●らっきょう
●はじかみ(しょうが/さんしょう)
これらは煩悩を刺激すると言われており、修行の妨げになることからお供え物のタブーとされています。
お墓参りのお供え物に関するマナーと注意点
つづいて、お墓参りでお供えをするときのマナーについて解説します。気を付けるべき点としては主に以下の3点が挙げられます。
●食べ物を皿や器に置く時は半紙を下に敷く
●お墓参りが終わったら飲食物は持って帰るかその場で食べる
●墓石にジュースやお酒をかけないよう注意する
それぞれ詳しく解説していきます。
食べ物を皿や器に置くときは半紙か懐紙を下に敷く
お供え物を皿や器に置くときは、直接置くのではなく必ず下に敷くものを用意するのがマナーです。
敷くものとして半紙や懐紙(かいし)などが一般的に使われます。
それらがない場合にはご自身のハンカチなどでも構いませんので、くれぐれも直で置くことはないようにしましょう。
お墓参りが終わったら飲食物は持って帰るかその場で食べる
お供えした飲食物はお墓参りが終わったらそのままにせず、必ず持って帰るかその場で食べるようにしましょう。
食べ物をそのまま放置しておくと、動物や鳥に荒らされたり腐ったりして悪臭を放つ恐れもあります。
また、食べ物や飲料が墓石に付着し、劣化を引き起こす可能性もあります。
せっかく献上した飲食物を故人の目の前で食べることはマナー違反だと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、お供え後に食べることは何も問題はありません。
ご先祖様や故人と同じテーブルを囲むような気持ちで、ありがたくお供え物いただきましょう。
墓石にジュースやお酒をかけないよう注意する
アニメや漫画、ドラマなどで、故人の墓石にお酒をかけるシーンがときどき見受けられますが、現実では墓石にお酒やジュースをかけることはおすすめしません。
墓石には目に見えないほどの無数の穴があいており、その穴をとおして飲料の成分が入り込むと、墓石が変色したりカビが生えたりする可能性があります。
さらに、お酒やジュースに含まれる糖分によって虫が寄ってきてしまうこともあるでしょう。
そのため、飲料物をお供えするときはコップに注ぐか、容器に入れたままお供えするようにしましょう。
お墓参りに関するよくある質問
お墓参りに関してよくある質問もご紹介していきます。
なかには迷信とされているものもあり、そこまで気にする必要がなかったりもしますので、今いちど確認しておきましょう。
Q. 花ではなく葉っぱをお供えしているお墓を見た事があるのですが、葉っぱでもいいんでしょうか?
お墓にお供えする植物は、葉っぱでもかまいません。
仏事のお供えに使われる葉っぱは、樒(しきみ・しきび)とよばれるものが用いられます。
樒は独特の香りと強い毒性をもっているため、口にすれば人間でさえ死に至ることがある植物で、土葬時代からある植物です。
土葬は、現代のように火葬することなくそのまま土に埋葬する方法のため、虫がたかってしまったり、野生動物によって遺体があらされたりすることが多々ありました。
樒にはサフロールという殺虫性の成分が含まれているため虫よけに効果的で、さらに猛毒による危険性から動物も寄せ付けないことから重宝されていたのです。
花に関しては毒性や強い香りをもつものはタブーとされていますが、樒にはこのように土葬時代から続く名残があるため、今でも広く使用されています。
Q. 午後にお墓参りをしても問題ないでしょうか?
可能であれば午前中が好ましいですが、午後でも問題ありません。
人々の生活が多様になった現代では事情によってどうしても午前中に行けないこともあるので、お墓参りの時間帯に関してそこまで神経質にならなくてもよくなっています。
しかし、個人的な事情よりもお墓参りを優先させることが、故人やご先祖様の供養に繋がるとされているため、午前中に行うのが良いとされています。
墓地によっては開閉時間が決まっており出入りが制限される場合もあるため、早い時間帯にお墓参りをするに越したことはありません。
最後に
今回はお墓参りのお供え物やマナーに関してご紹介いたしました。
基本的にお供え物は故人が好きだったものをお供えするのがおすすめですが、きちんとした知識を持っておかないと知らないうちにマナーを犯している場合もあります。
本文でご紹介した内容を踏まえて、気持ちのいいお墓参りの時間を過ごしてくださいね。