2022.04.29
納骨式(納骨法要)でのお布施の金額相場は?お布施の渡し方やその他の費用も解説
目次
ひとりの人が死を迎えた後、残された遺族は様々な儀式を行わなければなりません。
お通夜や葬儀、初七日に四十九日…その間は悲しみに暮れる暇もなく、忙しい日々を送ることとなるでしょう。
そしていつかは、荼毘(だび)に付された遺骨をお墓に納める日がやってきます。この時に催されるものが納骨式であり、その場でようやく本当にお別れを実感するという方もいらっしゃいます。
そのような大切な儀式をスムーズに執り行うために、ご住職へお渡しするお布施の金額を始めとした様々な注意点を含めて、今回は「納骨式」に触れて参ります。
納骨式のお布施の金額相場は2万円~5万円
納骨式を行う際、法要を営んで頂くご住職に対しての金額相場は一般的に2万円~5万円くらいが相場となっています。
寺院の各や地域ごとの慣習によって金額は異なる
納骨法要をお願いする寺院の格や地域ごとの慣習によって、2~5万円の範囲に収まらない場合があります。特に古くからの習わしを重視する地方では、注意しましょう。心配な場合は目上の方に聞いてみたり、ご住職に直接お伺いをたててみるのもひとつの方法です。
また、大型霊園などの管理事務所へ寺院の紹介をお願いする場合は、事前にお布施の金額を含めて諸々の費用を知らせてもらえることが多く、その点においては安心できます。
宗教によっての金額の違いはほとんど無い
宗教や宗派によるお布施額の違いというものは、現在ではほぼありません。仏教や神道といった主要宗教であれば、あまり気に留める必要はないでしょう。
ただし、独自に各種お布施の額を取り決めている宗教も存在します。気になる場合は、年長者に話を聞いておきましょう。
お布施を包む金封の種類
お布施を包む際には、基本的には不祝儀袋を用います。ですが不祝儀袋以外にも、略式ながらお布施を包むことができる封筒が存在します。
●不祝儀袋
●白い二重封筒
この2種類について、以下に詳しく述べていますので見ていきましょう。
不祝儀袋
最も一般的に用いられるのは、水引の付いた不祝儀袋です。水引の色には、黒白・黄白・双銀など様々な種類が見られます。
かつては状況に応じてそれぞれが使い分けられていたのですが、各地域や宗派によってその決まりごとが一通りには決まらず、非常にややこしいものとなっていました。そのため、現在ではそこまで明確に区別されることは少なくなっています。
とはいえ慣習を重んじる地域では、間違った水引を用いることで失礼にあたることも考えられます。気にかかるようであれば、事前に年長者から話を聞く機会を持つようにしましょう。
また不祝儀袋の表書きとしては、筆(または筆ペン)を用いて「御布施」と記しておきます。ボールペンや万年筆・鉛筆などを使うのはやめておきましょう。
白い二重封筒
「納骨式の当日、墓地へ向かう途中で不祝儀袋を購入しようと思ったが、お店で売っていなかった…」なんていう困った事態に陥ってしまった場合は、白の二重封筒に「御布施」と表書きをすることで、代用とすることができます。
不祝儀袋に比べるとかなり略式になりますので、あくまでも緊急の代替手段と考えましょう。そうならないよう、準備は早めに済ませておきたいものですね。
中袋の表書き・裏書きの書き方
不祝儀袋でお金を包む際、現金をそのまま入れてはいけません。まずはお札を中袋と呼ばれるものに包み、それを不祝儀袋で包むようにします。
ほとんどの場合、不祝儀袋を買うと中袋も一緒に付いてくるので、別途購入する必要はありません。付属のものではなく、和紙を用いた奉書紙でお金を包めば、より丁寧なお金の包み方となります。この中袋には、包んである金額や住所氏名を記入します。
書式は幾つかありますが、代表的なものをご紹介しましょう。まずは中袋の表側中央に、中に入っている金額を書き記します。算用数字ではなく、旧字体の漢字を用いて縦に書きましょう。
「御布施」という表記は、不祝儀袋の表書きとして既に記してあるので、中袋への記載は不要です。
金額 | 表記(実際には縦書き) |
3千円 | 金 参阡圓成 |
5千円 | 金 伍阡圓成 |
1万円 | 金 壱萬圓成 |
2万円 | 金 弐萬圓成 |
3万円 | 金 参萬圓成 |
5万円 | 金 伍萬圓成 |
10万円 | 金 壱拾萬圓成 |
次に封筒を裏返し、左下の方に小さめの文字で住所と名前を記入します。この時に筆文字では文字が潰れてしまって、判読が難しくなってしまうことがあります。筆の扱いに慣れていない方であれば、ボールペンや万年筆を用いるのも良いでしょう。
不祝儀袋の表書きなどと違って、ここでは作法よりも情報の正確さが最優先となります。
お布施に関する注意点やマナー
事前にお布施を準備している時や、実際にご住職へお渡しする際にも、幾つか気を付ける点があります。知らず識らずのうちであっても、失礼にあたる行為をとってしまっては、お互いに後味の悪いものとなってしまいますね。
そうならないように、守るべきマナーはしっかりと身に付けておきましょう。お布施に関して注意すべき点は、主に下記のようなものがあります。
●お布施の手渡しは避ける
●お布施は新札・旧札どちらでも良い
●お布施用のお札の入れ方
●お布施を渡すタイミング
この4点について、解説して参ります。
お布施の手渡しは避ける
ご住職へお布施を渡す際には、そのまま手渡しをしてはいけません。これはご住職に対して礼を欠く行為です。お布施は必ず袱紗(ふくさ)に包むか、切手盆に載せてお渡ししましょう。
袱紗は絹や縮緬(ちりめん)で作られた四角い布のことで、お金などの大事なものを包むために使われます。切手盆は漆塗りの小さなお盆を指し、もともとは人に贈り物をする際用いられた広蓋(ひろぶた)と呼ばれる大きめのお盆の略式として使用されていました。
またお渡しする際には、御礼の言葉も添えたいところです。決まりきった文句を使う必要はありません。自分なりの感謝を、そのままお伝えすれば良いのです。「本日は、本当にありがとうございます」そんなシンプルな言葉のほうが、却ってストレートな気持ちがご住職へ伝わるかもしれませんね。
お布施は新札・旧札どちらでも良い
お布施に包む紙幣は、新札でも旧札でも特に問題ありません。新旧のお札が混在していても構いませんので、通常であれば特に気を遣う必要はないでしょう。
ただし新札が良いとされる地域や、逆に旧札の方が失礼がないという風習も存在します。古くからのしきたりを重視する環境にお住まいの方であれば、念の為に年配の方へ伺ってみると良いかもしれませんね。
お布施用のお札の入れ方
中袋にお札を入れる際には、2つの点に気を付けるようにしましょう。
まずひとつは、紙幣の表裏と向きを揃えること。バラバラに入れるよりも、丁寧に心を込めて用意したことが相手に伝わります。もうひとつは、お札を取り出した時に、描かれている肖像画が中袋の表面と同じ側となるように収めること。
この2点を守れば、渡す相手への失礼はありません。
お布施を渡すタイミング
お布施を渡すタイミングとしては、納骨式が全て終わった直後が適切です。ご住職からの締めの言葉を聞いた後、お礼の言葉とともにお布施とお車代・御膳料を渡しましょう。
その際、施主が前もって不祝儀袋と各種封筒・袱紗・切手盆をまとめて所持しておけば、手間取ることなくスムーズな受け渡しが可能です。またお布施を渡し終えたからといって、すぐにその場を立ち去ってはいけません。
ご住職が各種法具の片付けをしている間はその場に留まり、ご住職が帰られる際には再度お礼を伝えて皆で見送るようにしましょう。
お布施以外に必要な納骨式の費用
納骨式を行うにあたっては、ご住職へのお布施以外にも幾つかの費用を準備しなければなりません。
以下のご紹介する4つがその代表的なものとなります。
●お車代
●御膳料
●卒塔婆供養量
●式費用
また、場合によっては不要なものもありますので、それぞれの項目を確認して判断しましょう。では以下にご説明いたします。
お車代
お車代は、納骨式を行う現地までお越しいただくための移動費として、ご住職にお渡しするものです。額としては、5千円~1万円ほどが大まかな相場となります。その際、お布施とは違って不祝儀袋は使いません。
白い二重封筒に「御車代」と表書きをし、それに入れてお渡しすれば大丈夫です。もし県を跨ぐような遠方から来て頂く場合は、その距離に応じて3万円や5万円といった金額を包みましょう。
なお下記のようなケースでは、お車代は不要となります。
●納骨式を行う場所が、ご住職のいる寺院境内の場合
●自らの車で、ご住職を送迎する場合
御膳料
御膳料とは、ご住職に対して「御膳をお出しできなかったこと」への代わりとしてお渡しするお金を意味します。簡単に言うと、お昼ご飯代ですね。これもお車代と同じく、「御膳料」と表書きをした白の二重封筒に、5千円~1万円程度を包みましょう。
ただし実際に御膳をお出しする場合、つまり法要後の会食にご住職を招いて食事を共にするのであれば、御膳料は必要ありません。その場合は、当日のご住職の予定も加味しつつ、事前に段取りを立ててお伝えしておくことが不可欠です。
日頃より深い付き合いをしていないのであれば、当日の急なお誘いは却って迷惑になるかもしれませんので、基本的には御膳料をお渡しするようにしましょう。
卒塔婆(お塔婆)供養料
卒塔婆とは、お墓に埋葬されている故人を個別に供養するために、お墓の横に立てられる細長い木の板のことを指します。この卒塔婆は、設置してから時間が経って古くなってくると、ご住職へ預けて供養してもらわなければなりません。
その際の供養料として、一本あたり3千円~1万円ほどをご住職にお包みしましょう。お渡しする際には、「卒塔婆料」と表書きした白色の二重封筒を用います。卒塔婆を作って頂く費用との誤認を避けるために、「卒塔婆供養料」と書いてもよいですね。
式費用
式費用は上記3つの費用と異なり、ご住職へとお渡しするお金ではありません。式進行の総合的なお手伝いをしてくださる方がいらっしゃる場合に、その方へお渡しします。
納骨式に必要な道具や準備を施主側で全て用意するのは難しく、霊園の事務所や石材店にお願いするのが一般的となっているので、そのお手伝いに対して支払う費用というわけですね。この額については5千円~1万円ほどが相場で、お布施とは違って多くの場合は事前に金額が明示されます。
また、主なお手伝いの内容としては以下のようなものになります。
●各種法具(お鈴や焼香台など)の用意
●法具と供物を置くための台を設置
●お墓の一部を動かして遺骨を納骨室へ納める作業
●日差しや雨を避けるために大型パラソル等の準備
特にお墓を動かす作業については注意が必要で、慣れていないと墓石を欠いてしまうことがあります。自分で動かすようなことはせず、専門の人者に任せるようにしましょう。
納骨式でよくある質問
ここからは納骨式に関してよくある質問をご紹介します。
同じようなことでお悩みの際には、参考にしてみてください。
納骨式での香典の相場はいくらくらいですか?
納骨式を主催する側ではなく呼ばれる立場となった場合には、香典を用意しておきましょう。主催者との関係性によって、またその後の会食があるかどうかによって相場は大きく異なります。
下記の金額を参考にして、香典を包みましょう。なお納骨式のあとに会食が予定されている場合は、多めに包むのがマナーです。
その際には以下の金額を参考にしてください。
主催者との関係 | 金額 | (会食がある場合) |
親や兄弟などの近親者の場合 | 1万円~3万円 | 2万円~5万円 |
祖父母やいとこ、叔父叔母などの場合 | 5千円~2万円 | 1万円~3万円 |
友人や会社関係者など、親族ではない場合 | 3千円~1万円 | 5千円~2万円 |
いずれも不祝儀袋に入れて施主へ渡します。表書きには幾つか書き方があり、状況に応じて使い分けが必要です。
既に四十九日(七七日・満中陰とも)を過ぎた方の納骨であれば、「御仏前」または「御佛前」と表記します。四十九日を迎える前であれば「御霊前」と書きますが、浄土真宗の方のみ「御仏前」「御佛前」を用いましょう。
宗派が分からないなど不安な場合は「御香典」または「御香料」としておけば、宗派や状況を問わずに使えます。また四十九日以前に渡す香典のみ、薄墨を用いるということを覚えておきましょう。
これは、悲しみに暮れて涙で墨が薄くなってしまったという気持ちを表します。
納骨式などの法事に参加する際の服装で気をつけるポイントはありますか?
納骨式や法事に参加する際の服装は、参加する方の立場によって異なります。しかし、こうでなければいけないといった明確な基準はありません。特に最近では以前に比べて、よりカジュアルな服装へと移りつつあります。
重要な点は、参加者の間で服装レベルに大きなズレが生じないようにすることです。皆が略礼服で集まったなか、ひとりだけが正喪服で参加してしまうと、少し周りから浮いてしまうかもしれませんね。
そうならないよう、前もって主催者となる立場の方が、おおよその服装の目安を参加者全員に伝えておくようにしましょう。
もしそういった連絡が無く、納骨式へ参加する立場としてどのような服装を選べば良いのかわからない場合は、下記の表を参考にしてみてください。
納骨式へ参加する際の服装 | 親族 | 親族以外 |
四十九日まで | 喪服 | 喪服・略礼服 |
四十九日以降三回忌まで | 喪服・略礼服 | 喪服・略礼服 |
三回忌以降 | 略礼服 | 略礼服 |
喪服には正喪服と準喪服がありますが、納骨式での正喪服(和装やモーニング)はかえって仰々しく捉えられることもあり、喪服=準喪服(ブラックフォーマル)と考えて差し支えありません
四十九日や一周忌での納骨の場合、お布施の相場は異なりますか?
四十九日や一周忌といったタイミングで納骨をする場合、それらの法要を同時に行うことも多いでしょう。その際には納骨式のためのお布施とは別に、忌日法要または年忌法要の為のお布施も必要になります。
不祝儀袋か白い封筒に「御布施」と表書きしたものを、もう一つ別に用意してお渡しするようにしましょう。相場としては2万円~5万円ほどとなっています。
また同日内の開催であれば、お車代と御膳料は納骨式用と別に用意する必要はありません。
例えば自宅で忌日法要を営んでもらい、その後に墓前へ移動して納骨式を行った際でも、お渡しするお車代は1回分で大丈夫です。自宅と墓地が離れているなど、移動距離が極端に長くなる場合であれば、少し多めの金額を包むと良いですね。
もし納骨と法要を別日開催とするのであれば、それぞれにお車代と御膳料が必要になります。
最後に
今回は納骨式に関する記事をお届けしましたが、いかがでしたでしょう。
注意しなくてはならない点が意外と多数あったことに、驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。故人を弔う際には、その手法よりも気持ちの方が大事と良く言われますが、だからといってマナーをおろそかにして良いという訳ではありません。
つつがなく納骨式を終えるために、ぜひ本記事をご活用ください。