2024.11.25
既存の常識を覆す注目の新刊『仏教の未来年表』
目次
日本経済の長期デフレで、葬祭・供養は「カオス」の時代へ
葬祭・終活関連の最新動向を探るため業者向けの展示会を毎年取材しますが、その葬祭・供養に不可欠な商品の代表格ともいえる墓石や仏壇は、素材やデザイン、機能など特段注目される要素や話題性がない限り(産地や企業が単独で主催する展示会を除いて)ほとんど出品されることはありません。それはデフレ経済の長期化によって、(品質や付加価値は二の次にして)生産効率と安売りを最優先する考えが社会全体に定着したことで、伝統的な儀礼・慣習は(非生産的かつ無意味なものと見做されて)簡素化が進み、その本質や価値が見失われたためと思われます。その結果、葬祭・供養に対する人々の既成概念(価値観)は大きく変化し、もはや何でもありのカオス(混沌、無秩序)の時代に陥ってしまったように感じられます。この先、日本(人)の葬送・供養、その根底を支える仏教はどうなってしまうのでしょうか。
葬祭・供養業界にとって不都合な出来事を含む31の事象を予測
そんな不安・疑問を抱える皆さんに紹介したいのが、現役僧侶にしてジャーナリストとしても活躍する鵜飼秀徳氏の近著『仏教の未来年表』(PHP新書、写真上)です。仏教にまつわる象徴的な5つの変化「檀家制度の危機」「LGBTQと戒名不要論」「寺院のデジタル化」「『不老不死』の実現」「都市型寺院の誕生」を挙げたうえで、2027(令和9)~2070(同52)年までに起こり得る(あるいは著者が「起こる」と予測した)31の事象について書かれています。一部を紹介すると、「『大半の無宗教者』が選挙の行方を左右する」「墓じまいブームが終わる」(2028年)、「樹木葬が墓の主流になる」(2029年)、「僧侶が『生成AI』に取って代わられる」(2030年)、「火葬場でお骨を完全消滅させるサービスが開始」(2032年)、「『お布施』が有名無実に」「『戒名』がなくなる」(2034年)、「『直葬』の割合が過半数に達する」(2035年)、「多死社会で『骨葬』が増える」「『一族の墓』から『みんなの墓』に」(2040年)など…。なかには「〇〇の倒産ドミノが起きる」(2030年、※〇〇は本コラム筆者による改変)というショッキングな予測もありました。もちろん筆者個人の予測であり、「必ず起きる」とは断言できませんが、その根拠もしっかり示されているので、まったくの「絵空事」とも言い切れません。それが自分の意に反することでも、事前に把握していれば自衛策が立てられるし、現実に起きた時のショックを和らげることができるでしょう(最終的に信じるか、信じないか、それはあなた次第です)。ぜひ、ご一読ください。