2024.04.12
500年後、日本人全員が「佐藤」姓になる!?
目次
結婚後の夫婦同姓を義務付ける法律は世界で唯一、日本だけ
約500年後の2531年、日本人の苗字が全員「佐藤」になるかも知れない――。日本は世界で唯一、結婚後の夫婦が同姓を名乗ることを法律で義務付けており(つまり、長い歴史の中で世代交代が進むたびに、苗字の数は年々淘汰され減少していく)、今後も選択的夫婦別姓を導入しなければどうなるのか、東北大高齢経済社会研究センターが、国内最多の苗字「佐藤」の全人口に占める割合の変化をもとに試算したところ、佐藤姓が2446年に全体の50%となり、2531年に100%を占めるというショッキングな結果となりました。
現状では日本人の約7人に1人が「佐藤」姓
日本人の苗字は現在13万種類あり、最も多いのが「佐藤」で約183万人(約7人に1人)、2位が「鈴木」で約177万人、3位が「高橋」で約138万人、4位が「田中」で約131万人、5位が「伊藤」で約105万人(以下省略)となっています。こうしたなか、結婚や離婚、出生、死亡といった苗字の増減に影響を及ぼす変動要因を踏まえて、日本国内の人口のうち佐藤姓が占める割合の変化を調べたところ、2022~23年の1年間で0.83%増加していたことが判明しました。この増加率が今後も維持されると仮定したうえで、このまま夫婦同姓の制度が続き、選択的夫婦別姓が導入されなかった場合、約500年後の2531年に日本人の苗字は100%佐藤姓に淘汰されるという結果が同センターの試算により導き出されたのです。
墓石に刻む家名や家紋はどうなってしまうのか
もしそれが現実のものとなれば、人を苗字で呼び止めたり、区別することが困難となり、社会全体が混乱に陥ってしまうでしょう。あるいは、そうなる前に、絶滅寸前の貴重な苗字を保護するため、結婚による佐藤姓への改姓が一定数制限されるようなこともあるかも知れません。お墓に関しても(写真上=佐藤家之墓)、墓石に家名や家紋を刻むことは無意味なものとなり、佐藤家以外のお墓を見かけたとしても「昔、そういう苗字があったんだね」という日本特有の史実(社会現象)を刻んだ懐古的なものとなり、いずれ消滅してしまうでしょう。いまは実感できないかも知れませんが、そのような弊害が予想される以上、この制度を維持する理由やメリットは何かあるのでしょうか。いまこそ苗字のもつ歴史的・文化的な意義や多様性などについて協議し、現制度を存続する是非について再検討すべき時期に来ているのではないでしょうか。