2022.04.29
法事の際はお墓参りをしないといけない?法事と法要の違いやなど徹底解説
目次
法事と法要。仏教徒の方でなくても、普段よく耳にする言葉ですね。
実はこの2つの言葉、それぞれ違う意味を持っているのをご存知でしょうか?同じ様な場面で使われることが多く、混同してしまいがちな法事と法要について、今回は解説いたします。
法事とは仏教の行事全般を表す言葉
法事という言葉は、故人の冥福を祈るために行う儀式や行事全般に使われます。
親族や親しい知人達が集い、お寺のご住職にお経を唱えてもらって、会食で思い出話に花を咲かせる。そういった一連の流れを総称して、法事と呼びます。
特に会食を含むという意味合いが強く、お経を唱えてもらうだけでは法事といいません。歓談の場を設けて故人を偲ぶ時間を持つ事は、仏教において高い徳を積む行為とされていますので、法事の大事な要素の一つなのです。
法事と法要の違い
法要とはご住職にお経を唱えてもらうことを指します。つまり、法事の一部として法要が行われます。
一般的には会食を伴う場合を法事、伴わない場合を法要と呼んで差し支えありません。
法事とお墓参りは必ずセットという訳ではない!法要をする場は主に3種類
法事を行うにあたりご住職に法要をお願いする場所は、主に3種類に分かれます。
●自宅での法要
●寺院での法要
●墓前での法要
また、自宅で一周忌法要を済ませたあと墓前へ移動し納骨法要を行う、といったような複数の場所にまたがるケースも考えられます。
墓前での法要であれば、同時にお墓参りをする事も可能です。その際には他の参列者を待たせないよう、お参りはあまり時間をかけず済ませましょう。
自宅法要の場合は、その後に会食が控えている事を考えると時間的な余裕が少ないので、お墓参りは日を改めた方が良さそうです。
法要を行うタイミングや種類
法要はいつ行えば良いものなのでしょう。
最初の法要は葬儀の際に行われ、その際にご住職から「次の法要はいついつ行います」とご案内を頂ける事もあります。
宗派やご住職の意向によって法要を行うタイミングは様々ですので、その都度ご住職に確認を取りましょう。
では次に法要の種類を紹介していきます。法要の種類は、大きく以下の2種類に分けられます。
●忌日法要(きじつほうよう・きにちほうよう)
●年忌法要(ねんきほうよう)
それぞれ詳しく説明していきます。
忌日法要
忌日法要とは、亡くなってから一年以内に行われる各種法要の総称です。命日を1日目と数え、7日毎に7回行われます。
日数 | 名称 |
7日目 | 初七日(しょなぬか・しょなのか) |
14日目 | 二七日(ふたなぬか・ふたなのか) |
21日目 | 三七日(みなぬか・みなのか) |
28日目 | 四七日(よなぬか・よなのか) |
35日目 | 五七日(いつなぬか・いつなのか) |
42日目 | 六七日(むなぬか・むなのか) |
49日目 | 七七日(なななぬか・なななのか) 満中陰・四十九日とも |
何故7日毎に行われるのか
ではなぜ、7日毎に7回行われるのでしょうか。
故人は没後、生前の行いを詳しく調べられて7日毎に裁判を受ける、と仏教の教えでは説いています(宗派によって解釈に違いあり)。その裁判の日に遺族が集まり、より良い判決が出ますようにとの願いを込めて供養する訳ですね。
そして7回目の裁判では、次にどの世界へ輪廻転生できるかの最終判決が下ります。七七日だけが、満中陰や四十九日といった多くの別名があるのは、それだけ重要な意味を持っている事が理由なのでしょう。
七七日が終われば。次に行われるのは百か日法要です。
没後100日目に行われるこの法要は、供養に加えてもう一つ重要な役割を持っています。残された遺族が「故人を思って悲しみに暮れるのはもうやめて、新しい一歩を踏み出そう」と決意するための区切りの日、それが百か日法要なのです。
現代において全ての法要を行うことは稀である
最近では、初七日から七七日までのすべての法要を行うことは、ごく稀となりました。初七日は葬儀と同時に行い、七七日以外の忌日法要は省略するといったケースが増えています。
親族一同が毎週のように集まることは現実的ではないので、これはある程度仕方がない事なのかもしれません。
年忌法要
年忌法要とは、亡くなった翌年以降の命日に行う法要の事を言います。
初めて迎える命日では一周忌法要を、その後は下記の表にある回忌法要を営んで、故人を弔います。
年数 | 名称 |
1年目 | 一周忌法要 |
2年目 | 三回忌法要 |
6年目 | 七回忌法要 |
12年目 | 十三回忌法要 |
16年目 | 十七回忌法要 |
22年目 | 二十三回忌法要 |
26年目 | 二十七回忌法要 |
32年目 | 三十三回忌法要 |
49年目 | 五十回忌法要 |
(注)2年目以降は周忌法要から回忌法要と呼び方が変わり、数字の数え方も変化します。
年忌法要は命日の当日に行うのが理想ですが、現実的にはなかなか難しいかもしれません。参加者の都合を考えて、土曜日や日曜日に前倒ししてもよいでしょう。
ただし命日よりも遅くなったり、一ヶ月以上早かったりするような事は、できるだけ避けるようにしてください。
忌日法要と同じく、年忌法要も省略されることが多い
年忌法要も忌日法要と同様の理由で、その全てを行う人は減ってしまいました。重要な法要とされている一周忌と三回忌を行い、七回忌以降は省略するという方が多いようです。
何回忌まで供養を続けるのかは親族でしっかり相談し、ご住職の意見も参考にして決定しましょう。
法事の準備内容
では実際に法事を行うにあたり、その準備と流れについてご説明致します。大まかな流れは以下の通りです。
①日時の仮決定
②ご住職へ法要の依頼
③参列者への連絡
④当日に向けての準備
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
1. 日時の仮決定
まずは主要な参列予定者の全員が無理なく集まれる日を話し合い、日時を仮決定します。
先にご住職と日時の打ち合わせをしてしまうと、参列者の都合が合わなかった場合にご住職へ迷惑がかかりますので、事前に参列者側の予定を決めておく事が肝心です。
ご住職の都合がつかない場合も考えて、第2・第3の候補日も決めておきましょう。
2. ご住職へ法要の依頼
次にご住職へ連絡を取り、法要の依頼をします。
ご住職の都合がつかない場合は別の日程を提示しますが、命日よりも後になることは避ける必要があります。そのため予定ぎりぎりの連絡では、次の候補日が見つからなくなってしまうかもしれません。
日程には余裕をもって、希望日の一ヶ月ほど前にはご住職との話し合いを済ませておきたいところです。
3. 参列者への連絡
日程が決まれば参列予定者へ改めて連絡をいれます。出欠確認は口頭ではなく、往復ハガキを用いた方が間違いがありません。
4. 当日に向けての準備
出席人数が把握できれば、早めに会食の場を予約し、引き出物の用意をします。遠方の方のための交通手段や、宿泊先の手配も忘れずにしておきましょう。
法事当日が近づいてきたら、お布施・数珠・位牌・遺影などを準備しておきます。供物や供花については、早く準備をしすぎると傷んでしまうので、直前になってから用意するようにしましょう。
法事・法要・お墓参りでよくある質問
ここでは法事や法要、その際のお墓参りでよくある質問をご紹介しますので、参考にしてみてください。
Q. お墓参りでしてはいけないことやタブーはありますか?
お墓参りの際に注意すべき点は幾つかありますが、特に気を付けたい以下の3点を取り上げて解説いたします。
●墓石に体重を預けない・寄りかからない
●水以外の液体を墓石にかけない
●ローソクや線香の火を息で消さない
墓石に体重を預けない・寄りかからない
まず安全面の観点から、いかなる場合でも墓石に体重を預けてはいけません。
特に霊標や墓誌と呼ばれる戒名を刻む板石はその構造上、横方向に倒れやすくなっています。また夏場には、やけどをするほど墓石が熱くなっていることもあります。
お墓掃除の際に手をついてしまわないよう、常に注意を払っておきましょう。
水以外の液体を墓石にかけない
せっかく建てたお墓は、いつまでもきれいなままであってほしいですよね。そのために気をつけるべき点として、水以外の液体を墓石にかけないよう気を付けましょう。
お酒やジュースは墓石が変色する原因となりますし、塩分を含むものは表面の艶を落としてしまいます。やむをえずかけてしまった場合は、なるべく早めに水で洗い流してください。
同様に、お供え物を墓地に残していくことも墓地の汚れに繋がりますので、必ずその日のうちに持ち帰るようにしましょう。
ローソクや線香の火を息で消さない
お参りの最中に気を付けるべき作法は、ひとつだけ覚えておけば大丈夫です。
それは、ローソクや線香の炎を消す際に、息を吹きかけてはいけないということです。消す必要があるときは、手で仰ぐなどの方法をとりましょう。
その他
他にも、立ったまま手を合わせる立礼(りゅうれい)は目線が高くなるので避けるべきといった意見もときおり耳にします。
しかし膝を悪くされている方だと、しゃがむ事が難しい場合もあるでしょう。形式にとらわれず、自分ができる範囲で気持ちを込めてお参りすることが大切です。
静かに手を合わせて心から故人の冥福を祈る、その気持ちがご先祖様にとっては何よりも嬉しい瞬間なのです。
Q. 四十九日前にお墓参りをしても大丈夫ですか?
霊園の定休日や深夜の時間帯などを除けば、いつお墓参りに行っても大丈夫です。
特定の日に墓参りをしてはいけないという決まりはありませんので、時間が取れれば積極的にお墓へ手を合わせに行きましょう。
Q. 三回忌の際、お墓参りのみでも大丈夫ですか?
法事を開いてご住職に法要をして頂くのが理想ですが、どうしても時間が取れない場合は、お墓参りのみとなってしまう事もやむを得ないでしょう。
事前にご住職から三回忌法要の予定を伺っていた場合は、連絡を取ることもお忘れなく。
Q. お墓参りは午後にしても問題無いですか?
午後からのお参りでも、特に問題はありません。
ただし、午後から墓地に行く際には気を付ける点が幾つかあります。
●暑い時期には熱中症などを避けるため、帽子や日傘・飲み物を持参し、木陰でこまめに休憩を取る
●冬は陽が落ちるのが早いので、暗くなる前にお参りを終えられるよう、時間を考えて段取りを組む
午前・午後のどちらでも時間がとれる場合は、午前中にお参りする方が、心配事が少なくてすみそうですね。
Q. お墓参りの際に持っていくべき花の種類はなんですか?
持っていってはいけないお花、というものは特にありません。故人が好きなお花があれば、それを持っていくのが一番でしょう。
ただし、トゲや毒のあるお花などは、よほどの事情がない限り避けた方が良さそうです。
Q. 墓前法要の際のお布施はいくらが相場ですか?
お寺のご住職に墓前で法要をお願いする際のお布施は、2万円~5万円ほどが目安となります。
またそれとは別に、お車代として3,000円~10,000円を包んでお渡ししましょう。ご住職をご自身の車で送迎する場合は、お車代は必要ありません。
Q. 墓参りは行き過ぎてはいけないということはありますか?
墓参りに行き過ぎて咎められる事はありませんので、ご安心ください。
お散歩がてらに毎日お墓参りへ行く方も、なかにはいらっしゃいます。ですがくれぐれも、お参りに行き過ぎて日々の生活に差し支えが出ないように気を付けましょう。
最後に
以上のように、法事とは故人や遺族にとって大きな意味を持つ儀式であり、また遠方に住まう親族同士が一堂に会する機会でもあります。
忙しいなか時間を割いて皆で集い、故人に思いを馳せる場を共有する。それは現代社会においては、貴重な時間の過ごし方なのかもしれませんね。