2022.03.22
「芸術は爆発だ!」岡本太郎のお墓
目次
都立最大規模を誇る多磨霊園
東京都のほぼ中央、府中市にある都立多磨霊園は大正12年に開園した、我が国初の公園墓地(総面積128ヘクタール)で、都立8霊園の中で最大規模を誇ります。武蔵野の風景を代表するアカマツと雑木林とともに、約1,600本のソメイヨシノが咲く桜の名所としても知られます(園内を南北に走るバス通りがあり、霊園中央のバス停でも乗り降りできる)。案内図の裏側に著名人墓所の一覧が掲載されていますが(他に『著名人お墓めぐりMAP』〔画家編、作家編〕もある)、園内は26の区域に分かれ、その中の種(列の色による種別)、側(列の番号)、番(列内の番号)で個々の区画を特定しているため、慣れないと迷子になります。グーグルマップには、一部著名人の墓所がピンポイントで表示されているので、それを頼りに探してもよいでしょう。
太郎と両親が仲睦まじく向き合って
中でもひと際目立つのが、流行語になったバラエティー番組での名言「芸術は爆発だ!」や、大阪万博のシンボルタワー『太陽の塔』の作者としても知られる稀代の芸術家、岡本太郎の墓所(16区1種17側=写真上)です。にこにこ笑顔で頬づえをつく自作ブロンズ像『午後の日』のレプリカで、漫画家の父・一平と歌人で小説家の母・かの子の墓と向き合うように佇んでいます。母の墓は聖観音菩薩立像(八柳五兵衛作)、父の墓は太郎が制作した陶磁製『かの子像』を原形とした『太陽の塔』そっくりの作品で、三人の仲睦まじい関係や愛情が感じられる、微笑ましい雰囲気が漂っています。
絵画や立体作品だけでなく幅広く活躍
岡本太郎は「誰でも無償で芸術に触れられるように」と、全国に70以上のパブリックアートを設置しており(東京・渋谷マークシティ連絡通路に設置されている、第五福竜丸が被曝した瞬間をモチーフとする巨大壁画『明日の神話』はその頂点とされる)、有名な絵画や立体作品だけでなく、1964年東京五輪の参加メダル(表側)や鯉のぼり、ネクタイ、腕時計デザイン、J1川崎フロンターレ2011年ユニフォームに採用されたデザイン文字「挑」など、多方面で活躍しました。多磨霊園へのお墓参りや近くに行く予定がある方は、お時間があればぜひ立ち寄ってご覧ください(園内には車両のまま乗り入れることも可能)。