2018.02.14
ペットと一緒に入れるお墓の是非について
目次
生き物の霊を祀った「日本最古の塚」はどこに?
昨年7月の本コラムで、長崎県大村市の本経寺に「(史実に基づく)日本最古の犬のお墓」があることを紹介しました。その後、インターネットでいろいろ調べてみると、生き物の霊を祀った「塚」(盛り土や丘、古墳、供養碑などで、必ずしも遺骸が埋葬されているとは限らない)が全国に多数存在することが分かりました。日本最古の塚は、古代の英雄・日本武尊(古事記では「倭建命」)の陵墓とされる、三重県亀山市の能褒野王塚古墳(4世紀末築造の前方後円墳。別名「丁子塚」)で、「(タケルは)死後に白鳥になって飛び去った」という伝説から、そのデータベースでは「白鳥塚」として区分されていました。
あらゆる生き物の供養碑が全国に
「塚」を大別すると、人や物を奉ったもの(晴明塚、芭蕉塚、経塚など)、慰霊を目的としたもの(首塚、蒙古塚など)、感謝の念を表したもの(食用動物の塚、道具塚、人形塚など)、あるいは境界線や道標として建てられたもの(庚申塚、一里塚など)があり、生き物では海洋動物から両生類、昆虫、鳥類、哺乳類全般まで、あらゆる生類(生きとし生けるもの)の供養碑が古くより建立されてきました。東京都内では豊島区西巣鴨の妙行寺に「うなぎ供養塔」「魚がし供養塔」があり、他にも江戸川区船堀の法龍寺にカエルの供養塔、墨田区両国の回向院に「日本最古の猫塚」(1816年造立)、さらに台東区上野公園の不忍池弁天堂には魚・鳥・ふぐ・いと(糸)・包丁を祀った塚がズラリ並んでいます。
仏教では、なぜペットとの埋葬を禁じているのか?
このように日本には生き物の霊を手厚く祀る文化が存在するのに、仏教では、人間以外の動物は「畜生」(生存中の業の結果として輪廻転生する六道のなかで、畜生道は三悪道の一つとされる)として、人間と一緒に埋葬することを禁じているお寺が多いのは事実です。本サイトでも「ペットと一緒に入れる霊園・お墓」を紹介していますが、全国的にはほんの一部(主に首都圏の霊園。西日本は数件のみですが、寺院墓地で認めているところもある)です。地域社会における寺院墓地の役割りや存在意義などは認めますが、もう少し柔軟な発想で門戸を開いてほしいものです(私の菩提寺でも、残念ながら禁じています)。