2017.12.26
全国で人気の霊場巡りですが…
目次
地蔵菩薩や如来、明王などを巡るものも
霊験あらたかな場所を巡礼する「霊場巡り」は、日本全国で行なわれています。有名どころでは四国八十八箇所のほか、観音様を巡る西国三十三所、坂東三十三箇所、秩父三十四箇所(以上3つを合わせて「日本百観音」と呼ぶ)などがあり、さらに地蔵菩薩・薬師如来・不動明王・愛染明王・阿弥陀仏・弘法大師・円光大師・十三仏・七(八)福神・曼荼羅などを巡るものもあります。海外では、韓国や台湾にも三十三観音を巡るコースがあるそうです。
日本最古の巡礼はどこで始まったのでしょう…
このうち日本最古(奈良時代の718年開創)の巡礼の道とされるのが、和歌山・青岸渡寺から岐阜・華厳寺まで二府五県の西国三十三所を巡る観音菩薩巡礼です。『西国巡礼縁起』によると、奈良・長谷寺を開いた徳道上人が病で危篤状態に陥った時、冥界の閻魔様から「このところ地獄へ落ちる者が多いが、観音霊場にお参りすれば、功徳が得られる」として、33の宝印(印鑑)と起請文(誓約書)を授かり、快復後、それを広めたことに由来します。つまり「地獄に落ちないための免罪符」を集めることが巡礼の始まりだったのです。その宝印は兵庫・中山寺に納められますが、その後、平安時代に花山法皇が掘り出したことで三十三所が再興され、天皇や公家による巡礼が始まりました。それが鎌倉~室町時代に庶民へと広まり、江戸中期以降に最盛期を迎え、お伊勢参りや熊野詣とも結びつくようになったということです。古くは参拝した証しに納経帳を寺に納め、そこに受領印を押してもらうのが慣わしで、それが今日のご朱印の始まりとなりました。また参拝者は寺の天井などに木札を打ち込んでいましたが、それが紙に変わり、千社札になったとも言われています。
開創1300年記念事業として月参り巡礼も実施中
来年は「西国三十三所草創1300年」を迎えます。その記念事業として、毎月1回1札所で特別なご朱印をいただく「月参り巡礼」も2016年4月より実施されていて、来年2018年12月の33番札所で一巡を終え、翌年1月からは二巡目に入ることになっています。同ホームページには、月参り巡礼の詳しいスケジュールも掲載されていますので、その日程に合わせて旅行の計画を立てるのもよいでしょう。