2024.10.11
メタバース霊園「風の霊」がついにサービス開始
目次
チャットなどで故人を追悼するメタバース霊園(現時点でお墓は未設定)
2021年6月14日付けの本コラムで、ネット上の仮想空間でお参りするバーチャル霊園「風の霊」が開発中であることを紹介しましたが、そのサービスの運用が9月11月から正式にスタートしました。当初の霊園は月面にあり、アバター(分身キャラクター)が地球駅から時空列車に乗って月に向かうという一風変わった設定でしたが、本サイトではすでに霊園に到着し、主宰者の用意したマイルームで各種サービスを利用する設定になっています(現時点でお墓は未設定だが、今後開発予定)。
将来的にはAIで再現した故人との会話も可能に
正式名称はメタバース霊園「風の霊」=写真上は使用イメージ。埼玉を中心に冠婚・葬祭・互助会サービスを展開するアルファクラブ武蔵野㈱(本社=さいたま市)がVR事業を手掛ける企業と共同開発したもので、利用方法は、まず主宰者が本サイトのトップページにある「マイルームを作る」を選択し、必要事項を入力することから始まります(登録・使用料は無料。ただし一部有料アイテムあり)。マイルームには、故人の想い出の写真や動画、音声データを飾ることができ、招待された人だけが入室できます。そこで遺族や友人など参列者同士で想い出を共有しながら、チャットや音声で会話を楽しむという設定です。パソコンやスマートフォンがあれば、いつ・どこからでも同霊園にアクセスし、故人を供養(追悼)できるのです。
また供養の対象を置き換えることで用途(ペット供養など)やコミュニケーションを拡大させることも可能です。たとえば主宰者本人が自身のマイルームを生前に作成すれば、そこに自分史や想い出を記録したり、お世話になった家族や友人、あるいは将来の子どもたちにメッセージを残すなど、終活やエンディングノートのような役割を持たせることもできます。「将来的には、故人の写真を3D化し、AIに人格形成を学習させ、合成音声化させることで、チャット型生成AIによって故人と会話できるようになる見通しです」と同社は述べています。
「死」はすべての人に平等に訪れ、その事実(宿命)と真摯に向き合うことで、命の重みを感じ、「生」を大事にしようと考えます。冒頭のコラム(2021年6月掲載)では、「仮想空間である意味『永遠の命』を手にした故人は、果たして自分の死を実感し、成仏することができるのでしょうか」と疑問を投げかけて本稿を締めくくりましたが、その考えはいまでも変わりません。