2024.09.20
「高齢者等終身サポート事業」めぐる相談が急増
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「親族がいても頼れない」という現実を背景として
頼れる身寄りのいない高齢者らを対象に、家族に代わって身元保証や死後事務などを担う「高齢者等終身サポート事業」をめぐる相談件数が急増しています(8月20日付け朝日新聞より)。国民生活センターによると、2023年度の相談件数は354件で、この10年で4倍に増加しています。相談内容は、サービス内容や料金などを理解せずに契約したという契約時のトラブルをはじめ、契約通りのサービスが受けられない、解約しても預託金などが返金されない、といったものまでさまざま。サポート事業の利用者の多くは一人暮らしですが、親族はいるが「疎遠で頼れない」「遠方に住んでいて頼れない」といった事情もあるそうです(写真上=高齢支援のイメージ)。
「お骨は自分で歩けない」って、どういうこと?
昨年2月16日付けの本コラムで、身元不明のまま事故や病死などで死亡するケースが全国で毎年1,000件以上(都内だけで約100件)あり、最終的には自治体が遺体を引き取り、火葬後は無縁仏として供養されること。また神奈川県横須賀市で、頼れる親族のいない資産・預貯金の少ない高齢者を対象に、格安料金で定期的な安否確認から死後の納骨まで見届ける「エンディングプラン・サポート」事業を2015年に開始し、さらに本人死亡後のさまざまな対応を市が代行してくれる「わたしの終活登録」事業を2018年からスタートさせたことを紹介しました。しかし、これは同市だけの福祉サービスなので、誰もが利用できるわけではありません。だからこそ、冒頭のサポート事業が成り立つのですが、身元不明の死亡者のなかには、無縁仏として納骨された後、お墓を生前契約していたことが判明するケースもあるようです。「お骨は自分で(墓地まで)歩けない」とは、まさしくこのことです。
LINEで安否確認できる無料の「見守りサービス」も
「せめて安否確認だけでも格安で…」という方には、NPO法人エンリッチによる無料の「見守りサービス」がお勧めです。これは安否確認のメッセージが任意の時間に定期的にLINEへ届くサービスで、利用者から24時間以内に「OK」の返事がなければ、メッセージを自動で再通知し、さらに3時間以内に応答がなければ、本人や家族に連絡が入るというものです(※グループ同士で安否確認を行なう有料の「つながりサービス」もあり)。「遠くの親戚より近くの他人」という諺もありますので、こうしたサービスを活用してみてはいかがでしょうか。