2023.12.25
2023年の物故者へ贈るレクイエム
目次
偉大な功績を残してくれたアーティストや作家、文化人たち
今年2023年に亡くなられた方で個人的に特に印象深かった方たちを今一度、畏敬と感謝の念をもって追悼し、今年最後の本コラムを締めくくりたいと思います。まず『東風』『ライディーン』などテクノポップの新ジャンルを切り開いたYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)のドラマー高橋幸宏さん(1月11日死去)、同メンバーでソロでも活躍し、環境問題にも熱心だった坂本龍一さん(3月28日)=写真上は来年3月10日まで都内で開催中の「坂本龍一トリビュート展」、そして同じくYMOの代表曲『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』などに参加したシーナ&ザ・ロケッツの鮎川誠さん(1月29日)も亡くなり、同時代を駆け抜けたアーティストの不幸が相次いだことはショックでした(坂本さんは手塚治虫のファンで、『ブッダ』はお気に入りの作品の一つだった)。『サザエさん』のタラちゃんや『天才バカボン』ハジメちゃん、『ハクション大魔王』アクビなどの声優として活躍した貴家堂子さん(2月5日)。そして同じアニメ界で宇宙を舞台にしたSF作品を数多く残した松本零士さん(2月13日)。代表作『銀河鉄道999』『宇宙戦艦ヤマト』からは、命の重みや人生哲学などを教わりました。「ムツゴロウさん」こと畑正憲さん(4月5日)は、学校でカエルの解剖をしなくなったことに触れて「命あるものとの交流が減少している」と指摘し、「生き物に体ごとぶつかることはとても大切なこと」と訴えました。辛口と流暢な語り口の上岡龍太郎さん(5月19日)。ラジオ番組『全国こども電話相談室』の回答者を約30年間続けた無着成恭さん(7月21日)。アリスのメンバーでソロでも活躍した谷村新司さん(10月8日)。タケモトピアノのCMで有名な財津一郎さん(10月14日)。エッセー『大人の流儀』などで知られる作家の伊集院静さん(11月24日)。『岸辺のアルバム』『ふぞろいの林檎たち』などの人気テレビドラマを手がけた脚本家の山田太一さん(11月29日)など…。彼らの作品や言動が、今でも当時の様々な記憶や感動を蘇らせてくれます。
名もなき一般人であろうとも……
上記のように著名人の死は、人々の記憶やネット上の情報として永遠に刻まれます。名もなき一般人は、特に功績を残すこともなく、平凡な人生のまま死を迎え、現世を去りますが、あなたの子孫から世界で活躍する偉人や著名人が出ないとも限りません。その人がお墓参りをした時、自分まで連綿と命をつないでくれたこと、(ご先祖様が氏神となって)励ましてくれたことにきっと感謝してくれることでしょう。