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2023.04.26

民法改正で墓地の越境問題も解決できるのか?

目次

「竹木の枝の切除及び根の切取り」の改正法が今月4月1日より施行

隣家が植えた樹木の枝葉が越境により自宅敷地内に入り込んできたら…。また、それによって日光の陽射しを遮られて室内が薄暗くなったり、ベランダの洗濯物の邪魔になったり、敷地内に落ちる枯れ葉を自分が掃除するはめになったとしたら、皆さんはどうされますか。これまでは隣家の所有者にお願いして枝を切ってもらうことくらいしかできず、越境された側の土地の所有者が自ら枝を切ることはできませんでした。しかし、民法233条「竹木の枝の切除及び根の切取り」が一昨年4月に改正され、今年4月1日より、一定の条件を満たす場合、越境された土地の所有者が自ら枝を切ることができるようになりました。

一定の条件を満たせば、土地の所有者も自ら枝を切ることが可能に

改正法では「土地の所有者は、隣地の竹木の枝が越境線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる」(下線部分は改正後の追加部分)とあり、その条文に続いて、①枝の切除を催告したにもかかわらず、相当の期間内に切除しない時、②竹木の所有者とその所在を知ることができない時(住民票や不動産登記簿などで現状を調査・確認する必要あり)、③緊迫の事情がある時(暴風等で折れた枝が建物を損傷させる可能性がある時)――これらに該当する場合は、土地の所有者が枝を切ってもよいことになったのです(※改正後も、まず始めに竹木の所有者に枝の切除を依頼する必要があることに変わりはない)。

この越境問題を墓地に置き換えて考えてみると…

これと同様のトラブルは墓地でも起きる可能性がありますが、「それなら法律が改正されたんだから、越境部分の枝を自ら切ってもいいんだ」と早合点しないでください。なぜなら、公営霊園や寺院墓地などの場合、その区画の所有者は墓地の使用者ではなく、墓地の経営主体である自治体や寺院と判断される可能性が高いからです。したがって、隣の墓地の樹木が区画を越えて迷惑を被っている(邪魔な)場合は、まずは墓地の所有者に相談し、やはり自治体(墓地管理事務所)または寺院などを通じて(隣の区画の使用者に)枝を切ってもらうようお願いするしか方法はなさそうです。とはいえ、実は知らないうちに「自分の区画内の樹木が越境している」というケースも考えられますので、まず現状がどうなっているのか、お墓参りの際によく確認しておくとよいでしょう(写真上はイメージ=雑草で荒れた状態の墓地)。