2023.04.10
こども基本法の視点で考える「お墓」の存在とは
目次
4月1日、「こどもまんなか社会」実現に向けて、こども家庭庁が発足
今月4月1日、こども施策の総合的な推進を目的とする「こども基本法」が施行され、その施策の立案、実施を担う内閣府の外局(内閣総理大臣直属機関との報道も)として、「こどもまんなか社会の実現」を最重要コンセプトとする、こども家庭庁が発足しました。「こどもの最善の利益」を第一として、こどもの視点に立った当時者目線の政策を強力に進めていくことを目指します。同庁が創設された背景として、①深刻な少子化(2022年の出生数は統計開始以来初の80万人割れ)、②コロナ禍で加速した児童虐待やいじめ問題(いじめ認知件数の増加)、③貧困問題(一人親家庭で7人に1人のこどもが貧困状態)、④日本のこどもの低い幸福度(身体的健康は1位でも、精神的幸福度は最下位の37位)、⑤親の子育て負担の増加(子育てストレスによる児童虐待)といった問題が指摘されています。
全ての子が年齢や発達に応じて意見表明できる機会を確保すること
また、こども基本法では、①全てのこどもが尊重され、基本的人権が保障され、差別的扱いがされないこと、②全てのこどもが適切に養育され、生活を保障され、愛され、保護されるなどの福祉の権利が等しく保障されること。また、教育の機会が等しく与えられること、③全てのこどもが年齢や発達に応じて、自分の意見を表明できる機会が確保されること、④子育ては家庭が基本であり、父母などの保護者が第一の責任を負う。十分な養育が家庭で困難な場合、こどもの養育環境を確保する、⑤家庭や子育てに夢を持ち、子育てに喜びを実感できる社会環境を整備する――以上5つが基本理念として掲げられています。簡単に言ってしまえば、両親ほか、国や自治体も「こどもや若者の意見をしっかり聴いて判断する」ことが義務化されたのです。
子供は本当に「お墓=迷惑」と考えているのか(親の勝手なエゴでは?)
これをお墓の問題に当て嵌めてみましょう。たとえば、「子供に迷惑を掛けたくない」と親の判断だけで墓じまいするケースが散見されますが、お子さんは本当にそれを望んでいるのでしょうか。仮に年齢的に知識が乏しく、充分な判断能力がないとしても、せめて自分の意見を表明できる年齢になるまで、その結論を先送りすべきではないでしょうか(負担の少ないお墓につくり変えることも可能です)。子供の意見を聴かず、相談せずに墓じまいすることで、その大切な権利が奪われてしまうのです(写真上イメージ)。目先の損得に囚われず、長い目線で考えてほしいものです。