2023.02.10
お墓が産地直送で空輸される可能性も
目次
「2024年問題」を受けて、2030年は荷物の1/3以上が輸送不可に
物流・運送業界では、トラック運転手の不足が顕在化する「2024年問題」にいかに対応するかが大きな課題となっています。働き方改革により、来年2024年4月からトラック運転手の拘束時間に新たな規制(時間外労働時間を年間960時間以内とすること)が設けられるため、それが恒常的な人手不足を招くと懸念されているものです。野村総合研究所が将来予想される荷物量をもとに規制による影響を調べたところ、国内の荷物量の35%が運べなくなるというショッキングな推計結果も明らかになりました。輸送能力の不足する割合が高いエリアは、東北41%、四国40%、北海道・九州39%となっており、さらに都道府県別で見ると、秋田46%、青森44%、高知・長崎がともに42%という結果でした。この問題により、人口の少ない(配送効率が悪い)地域では、配送の遅延や割増し料金が適用されるなどサービスが低下する可能性があるということです。
海外依存度の高い石材業界も無関係ではない
この2024年問題は、海外製品への依存度が高い石材業界(墓石及び建築石材など)にとっても決して無関係ではありません。港に到着したコンテナ貨物は通関後、必要に応じて仕分けされ、トラックに積み替えてから次の目的地まで輸送し、さらに検品や字彫り等の作業を終えた後、店舗や現場などへ運び込まれるからです(写真上=コンテナ貨物の輸送イメージ)。輸送距離の短い地産地消(国産品や国内加工品など)であれば、その影響を最小限に抑えることができるかも知れませんが、輸送距離が長くなればなるほど、その影響を受けやすくなるのです。
すでに「空飛ぶ車」の実用化や販売に向けた動きも
こうした社会的な背景もあって、目的地まで効率よく短時間で輸送できる「空の輸送」に注目が集まっています。アメリカでは大型ドローンの開発業者が来年「空飛ぶタクシー」の運用開始を計画中。日本では2025年開催予定の「大阪・関西万博」に向けて、会場周辺の交通手段としての活用を目指した「空飛ぶ車」の実証実験が進んでおり、また2026年発売予定の空飛ぶ車「ASUKA」(限定モデルで約8,600万円)の事前予約もスタートしています。重量物の石製品を安く、安全に、効率よく輸送するには更に時間が掛かりそうですが、いずれ「できたてホヤホヤの産地直送の石製品」が空輸で届く――そんな時代が当たり前になるかも知れません。