2022.07.14
生命起源論とお墓(墓石)の接点とは?
目次
3つに大別される生命起源論
地球上の生命は、いつ、どこで、どのように誕生したのか――生命起源論は古来より語られてきた人類共通のテーマで、数多くの説や考えが存在しますが、大別すると次の3つに分類されます。一つは、神が生命を創造したとする超自然現象説。2つ目は、地球上での化学進化の結果、生命が誕生したとする地球起源説。3つ目は、宇宙空間に存在する生命の種が隕石に混入するなど、それが地球上に到来して生命が誕生したとするパンスペルミア説(宇宙由来説)です。しかし、ここにきて、その壮大な謎に迫る有力情報が注目を集めています。それは2020年12月、探査機「はやぶさ2」が小惑星「りゅうぐう」から持ち帰った砂から23種類のアミノ酸が見つかったことです(写真上=「はやぶさ2」の模型による岩石採取のイメージ)。
宇宙由来説を後押しするアミノ酸の存在
マスコミ報道によると、ヒトの蛋白質を形成するアミノ酸は20種類とされ、そのうち体内で作ることのできないイソロイシンやバリンがその発見されたアミノ酸に含まれていました。コラーゲンの材料になるグリシンのほか、うま味成分として知られるグルタミン酸もあったそうです。こうしたアミノ酸は元々、46億年前に誕生したばかりの地球にも多く存在したとされますが、その後、地球はマグマに覆われた時期があり、それらは一旦消滅したものの、地球が冷えた後、宇宙から飛来した隕石が改めてアミノ酸をもたらしたのではないかとする仮説があり、今回の発見はその仮説を補強する材料になると見られているのです(今回持ち帰った砂に含まれる鉱物は、地球を含む太陽系の誕生から間もない500万年後にできたことが判明している)。
お墓を石で作り、お骨を土に還す本当の意味とは
有機物は、生物が由来の物体や物質のこと(生命体そのものとも言える)。墓石の材料に使われる石やガラスは、生命とは無関係の無機物に分類されますが、石や砂に含まれるアミノ酸がもとで生命が誕生したとなれば、お墓を石(地球素材)で作り、お骨を土(地球)に還すことは、ある意味(地球=生命の起源=生まれ故郷に帰るという考えに立てば)理に適っていることだと言えるでしょう。人々が自然の景観(石の造形)や宝石に無意識のうちに魅力を感じるのは、そうした帰巣本能(あるいは胎内回帰願望)の一種なのかも知れません。