2022.05.08
仏具の種類は何がある?使い方や飾り方について解説します
目次
仏壇には、仏具と呼ばれる仏壇を飾る道具が必要になります。
仏具には多くの種類があり、どれを揃えればいいのか分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では仏具の種類や使い方、飾り方について解説いたします。仏具に関するよくある質問についても解説していますので、ぜひ最後までお目通しください。
仏具とは
仏具とは仏事に使ったり仏壇を飾る道具のことを指します。
仏事とは?
仏教の行事や儀式のことを仏事といいます。仏壇にお参りすることも仏事に該当します。
仏具はお仏壇屋さんの店舗に限らず、ホームセンターやインターネット通販でも購入可能。値段は数百円のものをはじめ、高いものだと数十万円することもあります。
基本となる仏具の種類
こちらの章では、まず最低限必要な以下6点の仏具をご紹介します。
● 位牌
● 本尊
● 脇侍(わきじ)
● 香炉
● 花立
● 燭台
本尊
本尊とは各宗派で最も大切な信仰の対象として祀られている仏様のこと。仏壇に置く際は仏像か掛け軸の形で中央のもっとも高い位置に置きます。
仏壇と掛け軸のどちらを使っても問題はありませんが、掛け軸を使う場合にはスタンドが必要になりますので、注意しましょう。
脇侍
脇侍は本尊の左右に控える菩薩や明王、天(天部・天部神)などを指します。
菩薩とは 菩薩とは仏よりも一つ上の位の者。元々はお釈迦様の修業時代を指していました
明王とは 明王とは仏教の教えに従わない人に対して、教えを説く命を受けた仏を指します。不動明王や降三世明王(ごうざんぜみょうおう)など様々な明王がいます。
天 (天・天部神)とは 天とは仏教において天界に住む者のことを指します。
本尊と同様に仏像と掛け軸の形があり、どちらを使っても構いません。本尊は仏像を用いて脇侍には掛け軸を用いるといった置き方もあります。
また、1枚の掛け軸の中に本尊と脇侍が描かれているものもあります。
位牌
位牌は亡くなった方の魂が宿る依り代です。位牌にはさまざまな色やデザインのものがありますが、大別すると白木の位牌と本位牌の2種類に分けられ、仏壇には本位牌が用いられます。
また、宗派によっては位牌を用いずに過去帳を使う場合もあります。
遺影は仏具に含まれない?
さまざまなご家庭で仏壇に遺影が飾られているのを目にするかと思いますが、 遺影は仏具ではなく、必ずしも置かなければいけないものという訳ではありません。
もし、仏壇の中に遺影を置く場合には、本尊よりも下の位置としましょう。
香炉(こうろ)
香炉とは線香立てのことを指します。そのままでは線香が立たないため、香炉灰(こうろばい)などを別途用意する必要があります。
宗派や地域によって線香の立たせ方や寝かせ方が異なることから、さまざまな形のものがあるのも特徴です。
花立(はなたて)
花立とは、花をお供えするための花瓶のことを指します。さまざまな色や素材のものがあり、仏壇の雰囲気に合うものを選ぶとよいでしょう。
ただ、一部の宗派や地域では素材に指定がありますので、購入前に確認しておきましょう。
燭台(しょくだい)
燭台とはろうそくを立てるための台のこと。仏教では神仏に従える火を灯明(とうみょう)と呼ぶため、灯明立てとも称されます。
燭台にはさまざまな素材や形のものがあり、代表的なものとしては真鍮製や陶器製などが挙げられます。花立と同様に一部の宗派や地域では素材などに指定がありますので、こちらも購入前に確認しておきましょう。
仏具の飾り方
仏具は自由に配置していい訳ではなく、並べ方が決められています。
宗派や地域によって内容は異なりますが、ここでは以下2点の一般的なものをご紹介させていただきます。
● 三具足(みつぐそく)
● 五具足(ごぐそく)
三や五と言った数字は使用する仏具の数を表しています。仏壇のサイズによって仏具がおけるスペースも異なりますので、ご自身の仏壇に合った形を採用していただいて構いません。
具足とは?
具足とは過不足なく十分に備わっているという意味。
三具足
三具足とは先ほどご紹介した以下3点の仏具を指します。
● 香炉
● 花立
● 燭台
三具足は、仏壇に設置する仏具の組み合わせで最も簡易的なものです。小さい仏壇に適しています。
三具足の配置方法は以下の通りです。
最上段の中央に本尊、その左右に脇侍。そして一段下の右側に位牌を置きます。もし位牌が2つある場合には、左右に配置するようにしましょう。この際、本尊の前は開けるようにします。
そして位牌の一段下は、左から順に
1. 花立
2. 香炉
3. 燭台
の順番で配置します。
以上が三具足における一般的な配置方法ではありますが、仏壇のサイズや造りによってはこの通りに置けないこともあるかと思います。絶対に同じ形を再現しなければいけないという訳ではありませんが、できる限り近づけるようにしましょう。
五具足
五具足は香炉1つに、花立と燭台をそれぞれ2つずつで構成される合計5つの仏具の組み合わせを指します。また、一部では三具足に加えて仏飯器(ぶっぱんき)と茶湯器(ちゃとうき)をくわえた組み合わせを五具足と呼ぶこともあります。
一般的な五具足に仏飯器と茶湯器を加えた組み合わせを七具足と言います。
仏壇への五具足の配置方法は以下の通りです。
本尊や脇侍、位牌などの配置方法までは三具足と同じですが、花立・香炉・燭台の置き方が異なります。図の通り、真ん中に香炉を置き、その左右に燭台、さらに燭台の左右に花立を配置します。
その他の仏具
これまで基本的な仏具について紹介させていただきましたが、他にも仏壇に用いるさまざまな仏具があります。
りん
りんとは、主にお椀型の鈴のことを指します。りん棒で叩くと「チーン」と澄んだ音が鳴ります。
りんを叩く棒のことを”りん棒”と言います。
りんは元々禅宗にて使われていましたが、現代では宗派を問わず用いられています。
りんにもさまざまな形状や音色のものがありますが、基本的にはどんなりんを使っても構いません。ただ、りんを置くために用いるりん台は宗派によって指定されていることもあります。
仏飯器(ぶっぱんき)
仏飯器とはご飯をお供えする際に用いられる仏具です。先に少しご紹介した七具足の際に用いられます。
配置方法は宗派や地域によって異なりますが、本尊へのお供え物のため、ほとんどの場合は中央に配置します。また、仏飯器は直接置かずに仏器膳と呼ばれる台の上に載せます。
茶湯器(ちゃとうき)
茶湯器は水やお茶をお供えする際に用いられる仏具です。使用される場面は仏飯器と同じで、七具足の際に仏器膳の上に置いてお供えをします。
線香差(せんこうさし)
線香差は未使用の線香を差して置くための仏具です。必ずしも使う必要のある仏具ではなく、厳密な配置のルールなどはありません。
ただ、使う頻度が高いことから、ほとんどの場合は手元に近い最下段へ置きます。
盆提灯
盆提灯とはお盆の際に使用する提灯で、迎え火または送り火として用いられます。
迎え火・送り火とは? 先祖や神様を迎えたり見送りしたりするために、玄関先や庭などで焚かれる火のことを指します。
必ずしも仏壇や仏壇周辺に置く訳ではなく、故人が里帰りの際に道を迷わないよう、玄関や縁側に置くこともあります。
高杯(たかつき)
高杯は菓子や果物などの食べ物をお供えする際に用いられる仏具です。高杯に直接食べ物は置かず、半紙を敷いた上に食べ物を置きます。
多くの宗教では数や配置に指定はありませんが、仏飯器と茶湯器の下段か両脇に置くのが一般的です。
常花(じょうか)
常花は蓮の花をかたどった造花の一種です。材質はアルミ製や金製、真鍮製などさまざまあります。
宗派や地域によって飾り方は異なり、花立と一緒に飾ることもあれば、常花だけを飾ることもあります。
仏具に関するよくある質問
こちらでは仏具に関するよくある質問に回答させていただきます。
Q. モダン仏壇とは何ですか?
モダン仏壇とは現代の洋風住宅に合ったデザインをした仏壇のことを指します。
現代では仏間や和室がない住宅も多く、洋室の部屋に置いても違和感の無い仏壇が必要とされています。モダン仏壇はそういったニーズに合わせて作られました。
Q. 法事の際、仏壇はどのように飾ればいいですか?
多くの宗派では、通常時と特に変える必要はありません。
ただ、気になる方は普段は三具足の仏壇を五具足にしてみるなど、普段よりも少し豪華にしてもよいでしょう。
最後に
今回の記事では仏具に関して解説させていただきました。
記事内でたびたび解説した通り、宗派や地域によって仏具の材質やデザインなどが決められていることもありますので、事前にそれらを確認したうえで購入するようにしましょう。