2022.04.29
命日にお墓参りは行くべき?行う意味や時期について解説します
目次
皆さんは、「特定の時期に必ずお墓参りへ行く」といった習慣はお持ちですか?
お盆やお彼岸には忘れずお参りをする、月初めにはお花を供えに墓地へ行く、お正月の初詣の後にお墓へ寄って手を合わせる、など様々な回答があることでしょう。
故人の命日というのも、お墓参りに行くタイミングとしてよく選ばれる日取りのひとつです。しかし命日にあたる日は年によって曜日が変わってしまうので、平日だと仕事で行くことができない、などということが往々にして考えられます。
そのような場合、命日のお参りは省略しても良いのでしょうか。また、命日のお参りに行く際には何か特別なことをする必要があるのでしょうか。
今回の記事ではそのような観点から、命日にお墓参りをすることについて述べて参ります。故人の命日にお墓参りを、と考えている方は、ぜひ本記事をお役立てください。
命日とは
命日とは、その人が亡くなった日のことを指します。お墓や位牌に刻む年月日がこれにあたり、「◯◯年△△月××日」と表すことができます。
過去の出来事として、人が亡くなったその当日のみを意味する言葉なので、命日は二度と訪れることはありません。しかし実際には、次に説明する祥月命日(しょうつきめいにち)や月命日の略称として、命日という単語が使われる場面も多く見られます。
日常的には、むしろそちらの使い方をすることの方が多いかもしれませんね。本記事内でも、命日をその用法とする場面がありますのでご了承下さい。
祥月命日(しょうつきめいにち)
祥月命日は、先ほど説明した命日から「◯◯年」を除いた「△△月××日」の部分が表す月日のことを意味します。つまり祥月命日は、年に一回訪れるということになります。
一周忌や三回忌などの年忌法要(ねんきほうよう)を営む際には、この日を目安としましょう。
月命日
祥月命日から更に「△△月」を除き、「××日」の部分だけを取り出したものを月命日と呼びます。
毎月における特定の日付が月命日となるので年に12回あるように思いますが、そのうちの1回は祥月命日にあたります。ですので、実際には年に11回やってくるということになりますね。
31日が月命日にあたる場合、30日で終る月では前倒しとし、便宜上の月命日を30日と考えます。同様に、29日や30日が月命日の方も、2月には28日(うるう年の場合は29日)を月命日とします。
祥月命日にはなるべくお墓参りにいこう
先に述べたように、祥月命日は毎年一回必ずやってきます。近しい方が亡くなった特別な日になりますので、できればお墓参りに行きたいものですね。
命日のお参りは、供養のためだけでなく、故人のことを思い出す大切な場でもあります。忙しい毎日を送っていると、なかなか思い出に浸る時間を作ることは難しいので、年に一度の祥月命日をその機会としてはいかがでしょうか。
しかし年忌法要を行う年回りであれば、お墓参りへ割く時間をその当日に確保するのは難しいかもしれません。その場合は別の日に、ゆっくりとお墓参りをするようにしましょう。
もちろん、お参りを兼ねて墓前で法要を行っても構いません。
祥月命日に行けない場合は前倒しするとよい
祥月命日の当日にお墓参りに行けない場合は、別の日に予定を組むと良いでしょう。その際には、命日よりも後の日取りとならないよう、注意が必要です。
これは、仏事は先延ばしにせず、前倒しにするのが基本と考えられているからです。たった一日でも遅れてしまうよりは、一ヶ月前に行う方が良いということですね。
これは例えが極端かもしれませんが、そのくらいの気持ちで早めにお参りへ行くようにしましょう。
年忌法要をする意味
年忌法要は、故人の冥福を祈るために行われます。また命日に親族で集まって法事を営むことで、故人を偲ぶ機会を持つという側面も持ち合わせています。
宗派によっても若干の違いがありますが、年忌法要は毎年行うものではありません。一般的には下記の節目に法要を開催し、三十三回忌または五十回忌を機に弔い上げ(とむらいあげ。最後の年忌法要の意)とします。
●一年目 (一周忌)
●二年目 (三回忌)
●六年目 (七回忌)
●十二年目 (十三回忌)
●十六年目 (十七回忌)
●二十二年 (二十三回忌)
●二十六年目(二十七回忌)
●三十二年目(三十三回忌)
●四十九年目(五十回忌)
「周忌」という呼び方は一年目だけに使われ、二年目以降は「回忌」と数えます。また周忌と回忌は、年数の数え方が異なりますので、開催する年を間違えないように注意しましょう。
命日のお墓参りに向いている花
命日のお墓参りに持参するお供え花については、特にこれが良いというものは定められていません。平時にお参りする際のお花と同じものをお供えしても大丈夫です。
ですが命日という大切な日にあたるお参りですので、故人の好きだったお花など、普段よりも一層心を込めて選んであげたいものですね。その際には、仏教上の観点から供花として推奨されていないものがあるということに気を付けましょう。
●トゲや毒のある花
●香りが強い花
このようなものは、お墓に供えない方が良いとされています。
故人の好みでどうしてもこれらに該当するお花を選びたい場合は、事前にトゲを除去しておいたり、ドライフラワーにして毒を抜くなど、一工夫するとよいですね。
他にも、お墓や服を汚してしまう恐れのある花粉が飛び散りやすいお花や、宗派・地域などによって縁起が悪いとされているもの(ツバキ・サザンカ等)も避けた方が堅実です。
命日のお墓参りでするべき服装
命日にお墓参りをするときの服装は、どのようなものを着用すべきなのでしょうか。これは、法要を伴わない通常のお参りであれば、特に気にする必要はありません。
気温や天候に合わせて、お墓の掃除や草むしりなどの作業を妨げない衣服を選ぶと良いですね。
ただし墓前で年忌法要を行うのであれば、そういうわけにもいきません。特に事情がない限りは、略礼服を着用します。
数十分から一時間ほどを屋外で過ごすことになるので、炎天下では日傘をさしたり、寒さが厳しい季節はコートを羽織るなどして、体調を崩さないようにしましょう。
故人の親族であれば、一周忌または三回忌の法要に参列する場合のみ、準喪服がよりふさわしい服装となります
命日のお墓参りに関するよくある質問
祥月命日や月命日にお墓参りへ行く際に、普段のお参りとの違いや、気を付けるべき点などが気になる方もいらっしゃることでしょう。ここからはそんな疑問・質問にお答えして参ります。
Q. 命日にお墓参りをしないと罰があたるという教えは仏教にはありますか?
仏教の教えにおいて、命日にお墓参りをしないことで罰があたるというようなことは決してありません。しかし故人の気持ちになって考えてみてください。
やはり自分の命日には、お参りに来てほしいと思うのではないでしょうか。誰も訪ねて来ないと、忘れられてしまったようでなんだか寂しく感じてしまいますね。
月命日に毎回お参りに行くのは難しいかもしれませんが、年に一度の祥月命日にはぜひお参りに行って、供養とともに故人との思い出を追想しましょう。
Q. お墓参りは手を合わせるだけでも良いのでしょうか?
手ぶらのままでお墓参りへ行って石碑に手を合わせるだけでも、全く問題ありません。お墓参りに最も必要なものは「故人を思う気持ち」です。
手を合わせるという行為はこの気持ちを表す時に伴う動作ですので、その一番大事な行為を、心を込めて行うことが重要なのです。
もちろん事前にしっかりと準備をする時間がとれるようであれば、供物やお線香・供花などを用意してお参りに行くようにしましょう。
Q. 毎月お墓参りするとダメでしょうか?
毎月お参りに行っても、なんら差し支えありません。むしろお墓で眠っている方にとっては嬉しい限りでしょう。なかには散歩を兼ねて、毎日のようにお参りへ行く方もいらっしゃいます。
ただその頻度のお参りは、誰もができるわけではありませんね。お参りは回数を競うものではないので、自分なりに負担のないペースを保つことが大切です。
もし、いつお墓参りに行けばよいか分からないのであれば、以下のタイミングを目安にしてみましょう。
●お正月
●春彼岸
●お盆
●秋彼岸
●祥月命日
まずは年にこの5回のお参りを行い、可能なようであれば徐々にその回数を増やしていけば、自分にとって無理のないお墓参りの頻度がつかめてきます。
Q. お墓参りに行ってはいけない日はありますか?
地域によっては、仏滅や友引にお墓参りへ行ってはいけないという慣習が見られるところもありますが、仏教の教えにおいてそのような考えはありません。
基本的には、いつお墓参りに行っても構わないのです。ただし大雪や台風の日など、お参りすること自体が危険となるような日は避けましょう。
できれば穏やかな天候の日を選んで、落ち着いた気持ちでゆっくりとお参りをしたいものです。
Q. お墓参りをしてはいけない時間帯はありますか?
夜間のお墓参りは、基本的にやめておきましょう。屋内の施設や、屋外でもセキュリティがしっかりしている墓地では、そもそも中に入ることすらできません。
たとえ夜間に入れる墓地であったとしても、暗い場所でのお参りには危険が伴います。つまづいて転倒し、硬い墓石で頭を打ったりでもしたらおおごとです。
しかし数は少ないながら、24時間のお参りに対応した施設も存在します。
そういった墓地や納骨堂では、夜間でも安全にお参りできるよう万全の配慮がなされていることが多いので、仕事の都合や家庭の事情で日中が忙しい方にとってはとても有り難いですね。
Q. 親族以外の人が故人の命日にお墓参りへいっても問題無いですか?
親族以外の人が、故人の命日にお墓参りをしても問題はありません。ただしその際には、ひとつの重要な注意点が存在します。それは、できるだけ親族の方から事前に許可を頂いておく、ということです。
これは命日に限った話ではありません。お墓の敷地内は誰もが勝手に入って良い場所ではないので、親族の方が現地で見知らぬ人のお参りをみかけて不審に感じ、思わぬトラブルに発展してしまうかもしれませんね。
そういった事態を避けるためにも、自分の名前や故人との関係性、お参りする日時などを知らせておきましょう。
最後に
今回の記事では、命日にお墓参りに行く意味やその重要性について述べてまいりました。
仏事においては、その手法やマナーが重視される場面も多々ありますが、ことお墓参りにおいては、何よりも故人に対する気持ちが大切だということがお分かり頂けたかと思います。
たとえ線香や供物を用意する時間がなく、手ぶらでお参りに行ったとしても、きっとご先祖様には喜んでいただけることでしょう。
それがその方の命日であればなおさらです。「次回の命日に行くお墓参りの際には、いつもより気持ちを込めて手を合わせてみようかな」と思って頂けたなら幸いです。