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2022.08.29

水子供養はやるべきか、戒名はどうするのか

目次

日本における「戒名」とは

2017年8月18日付けの本コラム「戒名(法名、法号)は『死後の名前』ではありません」で、戒名とは何か、どんな意味や決まりがあるのか述べました。一言で説明すると、本来は仏教で受戒した(仏弟子となった)証として出家者に与えられる名称ですが、日本では僧侶としてあの世へ行くことで極楽往生できるという願いから、「没後作僧」と呼ばれる葬儀形式に則って死後に戒名を与える習わしが定着しました。しかし、前々回(8月19日付け)の本コラムで触れたとおり、水子(流産や死産、中絶による胎児)や乳児、幼児、子供の戒名や年齢に関しては、大まかな決まりごとがあります。本稿ではその内容について少し紹介しましょう。

水子や乳幼児、子供の戒名について

まず流産や死産、中絶による胎児の場合、2文字の戒名は付けず、位号を「水子」(すいし/すいじ)とし、単に「水子之霊位」または「(〇〇家)水子之霊位」と記します。また生後1歳くらいまでの乳児の位号は、男の子が「嬰児」「嬰子」(えいじ/えいし)、女の子は「嬰女」(えいにょ/えいじょ)。続いて、1~3歳くらいまでの幼児の位号は、男の子が「孩児」「孩子」(がいじ/がいし)、女の子は「孩女」(がいにょ/がいじょ)」とし、3~15歳くらいまでの子供の位号は、男の子が「童子」「善童子」(どうし/ぜんどうし)、女の子は「童女」「善童女」(どうにょ/ぜんどうにょ)とすることが多いようです(上記の水子以外は、それぞれの位号の前に戒名2文字が入る)。

ご両親が今後生きていくためにも必要なこと

水子供養は、必ずしもやらなくてはならないことではありませんが、何もしないことでご両親(特に母親)が自責の念に駆られたり、深い悲しみから抜け出せないことがあります。しかし、失われた小さな命を手厚く供養し成仏を願うことで、その辛く悲しい現実と向き合い、気持ちを整理することができますので、可能な限りやるべきだと思います。お子さんの供養だけでなく、ご両親が今後生きていくために必要なことでもあるのです。2018年9月28日付けの本コラムで、親より早く亡くなった子供がその親不孝の報いを受ける場所とされる「賽の河原」伝説を紹介しましたが、その子供たちを救ってくださるのが、水子供養のお寺などでよく見かける、錫杖を持ったお地蔵さま(水子地蔵=写真上)です。その他、お寺に石仏を奉納したり、お子さんの成仏を願って写経(文末に「為〇〇水子供養」と記す)や写仏することもお勧めです。