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跡継ぎがいても「墓じまい」する可能性について

目次

「お墓は自宅の近くにあり、跡継ぎがいる」にもかかわらず…

「(身寄りのない単身者や子供のいない夫婦など)お墓の跡継ぎがいない」あるいは「(承継者はいるが)実家のお墓が遠方にあり、維持・管理が困難」といった理由で、お墓を解体・撤去する(いわゆる「墓じまい」を選ぶ)ケースが増えています。すでに納骨が済んでいる場合、その改葬先を確保する必要がありますが、中には「お墓は自宅の近くにあり、跡継ぎがいる」にもかかわらず、お墓の維持・管理ができなくなることもあります。どのようなケースがあるのか、具体例を挙げて考えてみましょう。

嫁(子供の妻)と義父母の関係が良くないばかりに

たとえば、嫁(=子供の妻)と義父母((しゅうと)(しゅうとめ))の関係が良くない場合で、嫁が「今あるお墓に(義父母と一緒に)入りたくない」というケースです。舅・姑にとって、息子の嫁は血のつながりがない外部の人間であり、特に同居している間はいろいろな衝突やトラブルがあってもおかしくありません。一方、遠くで暮らす孫たちは無害で可愛い存在です。その感情が遺産相続にそのまま反映されると、法定相続で相続人となる可能性のある孫たちには、遺贈(いぞう)(贈与者による一方的な意思表示=遺書必要)または死因贈与(贈与者と受贈者の間で交わされる合意契約=遺書不要)などのかたちで一定の財産が分配されることはあっても、一番身近な立場で多かれ少なかれ(義父母の)お世話をした(時には迷惑をかけることもあった)嫁には一銭も渡らないという理不尽な結果となります。これは一種の「いじめ」と言わざるを得ません。

嫁の「一緒のお墓に入りたくない」が連鎖反応で拡散すると

もともと嫁は、内縁の妻や夫、再婚の連れ子と同様に、相続権がありません。確執や軋轢(あつれき)というものは、実の親子でもあるものですが、少なくとも相手に対する感謝の気持ちがあれば、嫁に対しても(せめて孫と同じ条件で遺産相続するなど)それなりの配慮が必要だと思います。そこに気づかないから「(義父母と一緒の)お墓に入りたくない」となるのであって、その考えに夫や子供たちが同調すれば、「いっそのことお墓は要らない=墓じまい」となってしまうでしょう。心当たりのある方は、自分の死後に禍根(かこん)を残さず、お墓を存続させるためにも、気持ちよくお参りできる環境を整えてほしいものです。