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修正会の前後に行なわれる鬼追式とは

目次

すでに平安初期に行なわれていた鬼追式

お寺で毎年1月に行なわれる年中行事に「修正会(しゅしょうえ)」があります(開催期間はそれぞれ異なるが、おおむね7日間)。これは前年の罪や過ちを悔い改め、反省し、新年の国家安泰、五穀豊穣などを祈願する法会とされます。これと前後して神社仏閣で追儺(ついな)式(鬼追式)が大晦日や節分に行なわれることもあります。元々は鬼(疫鬼や疫神)を追い払う中国の宮中行事でしたが、その大陸文化が日本の宮中に伝わりました。古い文献では、平安時代初期に編纂された勅撰史書『続日本記(しょくにほんき)』に「天下諸国疫疾、百姓多死、始作二土牛一大儺」(慶雲3〔706〕年12月晦日付け)とあり、疫鬼払いをしたとの記述が見られます。

いつしか追われる側の鬼が主役に

本来の鬼追(大儺(たいだ))の儀式は、方相氏(ほうそうし)と呼ばれる神様とそれに従う侲子(しんし)が(目に見えない)鬼を追い払う場面を再現したものでしたが、それがいつしか追われる側の鬼が見える存在に変化し、主役として演じられるようになったとされます。こうした儀式は宮中から神社仏閣にも広まり、庶民の間では節分として定着しました。各地の代表的な行事を幾つか挙げると、たとえば奈良・法隆寺の追儺会・鬼追式や同・念仏寺の陀(だ)々(だ)堂(どう)の鬼はしりなどがあるほか、岩手県平泉町の達谷窟(たっこくのいわや)毘沙門堂に伝わる鬼儺会(おにばらえ)では、毘沙門天が鬼を追う設定になっており、また京都・平安神宮の節分祭では古式に則って仮面を被った方相氏が鬼を追うシーンが見られます。

今年の節分は124年ぶりに「2月3日」ではありません

昨年は最初から最後までことごとくコロナ一色でしたが、日本でも順調に進めば春頃に(まず医療従事者、高齢者、基礎疾患のある人から)2回のうち1回目のワクチン接種が受けられる見込みです。初詣は参拝者が集中しないよう、混雑する三が日を避けた分散参拝を呼び掛けていましたが、地域によってはこうした修正会や鬼追式などの行事を目にされた方もいらっしゃることでしょう。引き続き2月の節分(長らく2月3日でしたが、今年は明治30年以来124年ぶりに2月2日となり、以後、4年1回は2月2日になることが決まっている)でも豆をまいて鬼(疫病)を退治し、今年こそは東京オリンピック・パラリンピックを開催し、ぜひとも成功させたいものです。