2020.12.21
オールブラックスの民族舞踏「ハカ」について
目次
戦闘前に相手を威嚇するマオリ族の民族舞踏をアレンジ
昨年はアジア初のラグビーワールドカップ2019が日本で開催され、日本中で盛り上がりました。その出場国の一つ、ニュージーランド代表チーム(オールブラックス)は、試合前に民族舞踏「ハカ」(カマテ)を踊ることでも注目を集めました。ハカは本来、マオリ族の戦士が、戦いの前に手を叩き、足を踏み鳴らして自らの力を誇示し、相手を威嚇する舞踏でしたが、オールブラックスが1905年のイギリス遠征の際に戦いの要素を採り入れてお披露目したのが始まりとされ、それ以後、代表チームに受け継がれることになりました。英語ではwar cry(闘いの雄叫び)と呼び、トンガやサモア、フィジーなどの各国代表にもそれぞれのwar cryがあります。
ハカの歌い出し「カマテ!」が意味するものとは
オールブラックスのハカ(カマテ)の歌い出し「カマテ!カマテ! カオラ!カオラ!」は、「死ぬ!死ぬ! 生きる!生きる!」という意味で、その後「見よ、この勇気ある者を。ここにいる毛深い男が再び太陽を輝かせる…」と続き、最後は「太陽の光の中へ! 立ち上がれ!」で終わります。かつてハカの中に首を切るようなジェスチャーがあり、問題になったことがありましたが、これは「相手チームの首を切るという挑発的な意味ではなく、自らの首をかけて戦う意気込みを見せるもの」と解釈されています。また現在は相手に対する敬意や感謝の意を表す一般的な民族舞踏としても広く認知されており、同国の野球やサッカー、アイスホッケー、バスケットボールなどの代表チームに加えて、結婚式や卒業式、開会式、歓迎式典など、あるいは死者の霊を弔い哀悼の意を表す舞として葬儀でお披露目されることもあるそうです。
ラグビーワールドカップ2021(女子大会)はニュージーランドで開催
日本では、栄養ドリンクや飲料水、殺虫剤などのコマーシャル、あるいはラグビー部を舞台にした青春ドラマのオープニングでハカを踊るシーンが登場し、話題を集めました。もちろんハカと「お墓」は無関係ですが、「カマテ」が死を意味する言葉で、まさか葬儀で舞う風習があることまでは知りませんでした。来年9月に開幕するラグビーワールドカップ2021(女子大会)はニュージーランドが開催地です。女性チームによるハカがお披露目されるかも知れません。