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友引に葬儀を避ける風習があるけれど…

目次

暦に記載される「六曜」は明治期に禁止され、戦後に復活

冠婚葬祭の日取り決めや勝負事の(げん)担ぎなど、何かをする時の決め事として、大安や友引、仏滅など「六曜(ろくよう)」と呼ばれる暦注(れきちゅう)(暦に記載される日時・方位に関する吉凶、その日の運勢など)を気にされる方は多いことでしょう。その起源は中国とされますが、いつ確立されたのか、詳しいことは分かっていません。日本への伝来は14世紀の鎌倉時代とされ、江戸時代に流行しました。その後、明治政府は太陰暦から太陽暦へ改暦するに当たって、「吉凶付きの暦注は迷信である」と一時禁止したものの、民間人の支持は根強く、終戦後は政府による統制も廃止され、再び世間に出回るようになりました。

仏教とは無関係。親鸞聖人も否定的な見解を表明

葬儀の日取りを決める際に「友を道連れにする」として、「友引」を避ける風習もいまなお各地に残っていますが、六曜では元々、勝負の決着がつかず引き分けになる日「共引き」を意味する言葉でした(仏教と「六曜」は無関係。昨年2月14日付けの本コラムでも、仏滅と仏教が無関係であることを説明している)。陰陽道に、ある日ある方向に事を行なうと災いが友に及ぶとされる「友引日」があり、これが六曜の友引と混同されるようになった原因とも言われています。また「占いを妄信して本質が疎かになると、かえって悪い結果になる」として仏教では占いを否定。とりわけ浄土真宗では、宗祖・親鸞聖人が「日の吉凶を選ぶのはよくない」と和讃(わさん)(和語による讃歌)で説いており、やはり「仏教においては、本質的に因果関係によって物事が決まり、六曜が直接的な原因として物事を左右することはない」と否定しています。そのため、浄土真宗では「友引に葬儀を行なっても問題ない」としています。

季節を表す「二十四節気」とそれを補足する「雑節」

同じ暦の中で季節を表す「二十四節気(にじゅうしせっき)」(太陽の周期を24等分し、12の節気と12の中気を付けたもの)や、「雑節(ざっせつ)」(二十四節気の中国との季節感のズレを補足するために日本が採用したもの)などの言葉がありますが、そこには春分や秋分、中元(盂蘭盆(うらぼん))、彼岸など、お墓参りに関連する言葉も見られます。六曜との関連性はともかく、暦に季節やお墓参りに関する言葉があるのはとても風情なことで、いかにも日本らしい文化だと言えるでしょう。