2018.08.16
良いことづくしに見える屋内墓地ですが…
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毎年百数十万人、今後10年で千数百万人が亡くなる多死社会
厚生労働省がまとめた人口動態統計によると、2017年の出生数は94万6000人、死亡数は134万人でした。つまり、日本の人口は昨年だけで約40万人が自然減少したことになります(実際は、在留外国人が急増しているため、22万の減少とされる)。これは人口30万以上を条件とする中核市に匹敵する数字です。しかも死亡者数はさらに増え続け、2040年には166万人に達するとも予測されています。日本人の平均寿命は、男性が81.09歳、女性は87.26歳(厚労省、平成29年簡易生命表より)ですが、昨年の総務省の統計によると、65歳以上人口が3515万人、75歳以上人口が1748万人でしたので、今後10年で千数百万人が亡くなるとも言われています。まさしく多死社会を迎えているのです。
都市部では選択肢の一つとして認知される存在に
こうした社会的な背景もあって、人口の集中する首都圏及び大都市では、屋内墓所(いわゆる「ビル型納骨堂」)が注目されています。屋内に通常と同じ墓石を並べたものやロッカー・仏壇型、あるいは共用の参拝ブースにICカードなどで厨(ず)子(し)を呼び出す自動搬送式などがありますが、いずれも「交通至便な場所にある」「一般のお墓より安い」「天候を気にせずお参りできる」等の理由で人気を集めています。しかも一般的な家族層だけでなく、実家や郊外など遠方にあるお墓を処分して改葬したり、永代供養を設定している屋内墓所では、独身者やお子さん不在など承継者のいない方のお申し込みも多いということです。
知られていない屋内墓所の問題とリスクとは?
一見、良いことづくしのように見えますが、屋内墓所にも注意すべき点があります。土地と違って、建物には寿命があるということです。老朽化だけでなく、地震や震災等で被害を受ける可能性もあります。その結果、建て替えが必要になった時、その安くはない費用を誰が払うのか、その間、いま預けているお骨は誰がどのように管理するのか、不透明なことも多いのです。また大型施設の場合、その初期投資が膨大な金額となるため、資金繰りが悪化してお寺が破産するといった事件も実際に起きています。ですから、屋内墓所を検討される場合は、こうした問題やリスクがあることを承知した上で、その不安や疑問をしっかり解消してから契約する必要があるでしょう。