2017.09.08
趣味や追善供養のため、写経を始めてみませんか?
目次
写経はいつ頃、始まったのでしょうか?
写経とは、仏教の経典を書写することです。もともと印刷技術が未発達の時代に仏法を広める目的で行なわれたもので、中国では六朝時代(222~589年)に写経が定型化され、隋~唐の時代に盛んになったということです。
日本では国家事業だったことも…
日本では天武天皇の飛鳥時代、673年に川原寺(奈良県明日香村)で『一切経』の写経が行なわれたのが最初と言われています。川原寺は、飛鳥寺(法興寺)・薬師寺・大官大寺(大安寺)とともに「飛鳥の四大寺」の一つに数えられますが、同寺の創建は不明で、710年の平城京遷都の際に他の三寺は平城京へ移ったものの、同寺だけは移転せず、中世以降に廃寺となりました(同地には現在、その法灯を継ぐ真言宗豊山派の弘福寺が建っている)。
また写経は当初、僧侶の修業や講義のためでしたが、後に『法華経』が説いているように、写経すること自体に功徳があると言われるようになりました。奈良時代の天平年間は、聖武天皇が仏教に深く帰依していたこともあって、官立の写経所が設立されるなど、国家事業としても写経が行なわれました。さらに平安時代に末法思想が流行すると、写経した経典を経筒に入れて埋納する経塚も造られました。
誰でも手軽に始められる写経セット
現代の日本における写経は、書家が『法華経』を題材にすることもありますが、一般的には『般若心経』を書写することが多いようです。最近はお寺や仏教への関心・理解を高めてもらうことを目的とした写経教室や、文化セミナーなども各地で催されています(誰でも手軽に始められる、なぞり書き写経セットもある)。
またお墓の新規建立や納骨式、年忌法要などの際に納経(写経を納めること)を勧めている霊園や石材店もあります。大切な人が迷わず成仏できるように心を込めて写経する、あるいは両親やご先祖様の追善供養として納経することは、遺族の悲しみを癒したり、気持ちを落ち着かせるプラス効果もあり、とてもよいことです。お墓参りも楽しくなります。皆さんもぜひ写経を体験し、お墓に納めてみてはいかがでしょうか?